悲愛の結末

名前変更




俺は、スリザリン寮生で、純血主義の家庭に育った。父も母も死喰い人で、俺も死喰い人になる運命だった。
父も母も大好きだったし、もちろん愛されていたと思う。でも、あのお方に逆らうことは出来ない。生まれる前から決まっていたのだ。

だから、何も望まないつもりだったのに、彼に出逢ってから俺は変わってしまった。馬鹿みたいに毎日が楽しくて、楽しくて、楽しすぎた。

そして呼吸をするように、自然に彼に恋した。

諦めていたのに、死にたくないと思うようになってしまった。

ハリー・ポッターはあのお方の敵で、俺たちはきっといつかは敵対することがわかっていたのに。




そしてその時が、きてしまった。

「ハリーを痛めつけて連れてこい」とあのお方から命令されたからだ。






「お前たちは、僕の敵だ」

死喰い人の姿になって俺が言われた言葉。覚悟していたはずなのに、胸が抉れるように痛い。


「…とにかく一緒にきてもらおうか………クルーシオ!」
「リクタムセンプラ!!!」


結果、俺の攻撃は逸れて、ハリーの攻撃は直撃し、俺は吹っ飛んだ。俺が、ハリーを痛めつけるなんて出来る訳がなかったのだ。



「ごめんな、ハリー」

小さく、そう呟く。途端に激痛が襲った。ああ、俺は死ぬのか

あのお方が言っていた。お前には呪いをかける。私を裏切ろうとしたら、お前は死ぬ、と。

もう、これ以上ハリーを攻撃する事なんて出来ないから、俺は死ぬのだ。




「エクスペリアームス!」
「ぐはぁっ…」

追い討ちをかけるように、呪文をかけて杖を取り上げられ、ハリーがこちらへ近寄ってきた。

仮面はもう、外れていた。



「なん、で?」

驚きで目を見開いている。それが俺が最期に見た愛しい人の表情だった。

さよならハリー

願うなら、もっと君の笑顔が見たかった。もっと君と一緒にいたかった。もっと君を、愛したかったよ。

天国なんて信じてないけど、もし死後の世界で君に会えたら、その時はこの気持ちを伝えることが出来るのかな?






仮面が外れた死喰い人の正体は名前だった。名前はスリザリン寮生だったけど、そんなのが気にならないくらい、凄く良いひとだった。

一緒にいるうちに惹かれて、愛した。

伝えたことはなかったけれど、たぶん名前も同じ気持ちなのだ、と思っていた。


なのに、なんで…

「…なんで君がここにいるの?」

名前の体を揺さぶると徐々に冷たくなっていた。

「え…?嘘?嘘だよね?なんで死ぬんだよ…!僕、そんな呪文かけてないよ…!?なん、で」



「……の、ろいだよ…ヴォル…モ…ト…裏切…ろ…とした…ら…俺、………ごめ…な…ハ、リー」

そう言ったきり、名前はニ度と目を覚ますことはなかった。



名前には、ヴォルデモートを裏切ろうとしたら死ぬ呪いがかけられていた。

思えば、名前は、ふとした時何か言いかけてやめるという事がよくあった気がする。あれは、助けを求めるサインだったのだろうか?今悔やんでも、もう何もかも遅いけれど。








ずるいよ、最期に謝るなんて

謝るくらいなら死なないでよ
僕のそばからいなくならないでよ



ねえ、



本当に愛してたんだ



時を、戻して。

千年葬/右鵡さまへの相互お礼文です!ハリー悲恋夢ということで、敵対関係で死ネタにしてしまいました(あわわわわ)
ハリー悲恋夢は書いた事がなかったので超新鮮でしたが、こんなものでよろしかったでしょうか…?
右鵡さまのみ、このページへ直リンク可です…!





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