黒く鋭い総長に「トリックオアトリート」と言ってみたら「は?」と返されたわけだが。

「じゃあこれから何しても文句言わないでくださいね。そういう日なんで」
「お前何言ってんだ」

俺は今日ハロウィンだから浮かれていた。ということにしといて昼休みの売店前で総長の股間を蹴り上げた。



「だから文句無しって言ったじゃないですか。知りません?今日はお菓子持ってなかったら殺されても文句言えない日なんですよ」

必死の逃走虚しく黒く鋭い二人に取り押さえられて屋上で総長タイム。日頃の恨みを晴らすのと純粋にイベントを楽しむためにやった可愛いイタズラが総長さんを思った以上に怒らせてしまったようだ。顔が黒く鋭い感じになってる。
総長は二人を屋上から追い出し俺を押し倒した。これ人生二回目のシチュエーション。

「…何笑ってんだよ」
「…ふっ」

ああ後少しでハロウィンだなって思って、それからいつも俺にうざいちょっかい出してくるこの人はハロウィンとか知ってんのかなって、でハロウィンになったらお決まりのあれ言ってみようかなって、でイタズラ何しようとか色々考えて、何気に今日凄く楽しみだった。実際スカッ!!としたし楽しかった。まだ余韻が残ってる。

「俺、殴るんだったら、ルール違反しないで、ちゃんとあれ言ってくださいよ」
「…は?」
「ははっ、わかんないですか?じゃあダメです」

黒く鋭かった顔がぽかんとなった。それから暫くして漸く俺の言ってる意味がわかったらしい。

「トリックオアトリート?」
「そうです」
「お前ハロウィンなんてよく覚えてんな」

俺も去年まではスルー行事だったけど。学校でも大体そうだし。日本で盛り上がってるとこっつったら舞浜原宿くらいじゃね?

「ちなみに俺飴持ってますけど」
「いらねー、イタズラだ」
「ルール違反ルール違反…いッ」

目の前の総長の口に苺味の飴を突っ込んだら指を噛まれた。
それから何故かキスされて変な雰囲気に。抵抗しとくべきだったけど、初めてのキスは、甘いし気持ちいいし、何かまだ楽しい気持ちでいっぱいだし、その時は後先考えず総長からのディープキスに応えてしまった。猛反省。

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