さようなら、
※傾物語ネタバレ
血溜まりに自然と視線が落ちる。
今の今まで、そこにいたはずの男を思い出して、泣きたくなる衝動を必死に抑える。
あぁ…。遂に助けを求めてはくれなかったか。
「お前様は、どこまで馬鹿なのじゃ…」
地面に膝をついて、血溜まりを撫でる。手のひらがべったりと赤に染まった。
もう、居ないのじゃな。儂を救ってくれた、あの男は、もうこの世のどこにも居ないのじゃな。
現実を受け止めようとすればするほど、苦しくなって悲しくなって、不意に顔を上げれば数ヶ月前のあの日と同じ漆黒の空が広がっていた。
儂にとっては一瞬のことではあったが、それでも共に過ごした日々は退屈ではなかった。
だかそれも、もうどうでもいい。
「さよならじゃ…。……さようなら、我が主様」
さぁ、この世界を滅ぼそうではないか。主様を殺したこの世界を……。
(あなたのいないこの世界など)
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阿良々木くん一人の為に世界を壊す忍が書きたかったのです。