わからない、恋心


彼女のことを大切に思っているかと問われれば、多分大切だと答える自信はある。
でもそれは、どういう意味での大切なんだ?
“誠凜高校バスケットボール部のカントク”として大切な存在なのか?確かに、彼女はカントクという重要な役割を担ってくれていて、練習メニュー作成や合宿の手配、おまけに試合後のマッサージまでやってくれている。今彼女がいなくなってしまっては部自体成り立たなくなると言っても過言ではない。

でも、本当にそれだけなのか?

カントク、として見てるつもりだった。幼馴染ではあったけど、彼女のことを異性として意識したことはなかったと思う。
中学の時はただひたすらにバスケだけを見てきたし、今だってそうだと胸を張れる。1年の時は迷って悩んだけど。
でもやっぱりふと、バスケ以外のことを考えたときに彼女が出てきてしまう。
いつも自分の力以上に頑張ろうとするあの姿が心配だから?
それとも……?

ああ、何なのだろう。
この気持ちは、一体何なのだろう。
彼女のことは大切で、でもその大切はどの意味の大切なのだろう。
“カントク”として?
“幼馴染”として?
それとも……“異性”として?

わからない、わからない。
わからないまま、今日も過ぎていく。



(大切、なんだよな)

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -