さよならの決意


※チャプター5ネタバレです。























言うべきか、言わないべきか。
悩んで悩んで、悩みまくった。
でも、狛枝くんの思惑通りに事が進んでしまえば、きっとみんな殺されてしまう。
“正しいクロを指摘できなかった”から。
狛枝くんが自分の才能を心底信じていたのであれば、彼を“殺す”役割は必ず私に回ってくるはず。あんなにも裏切り者を指摘したがっていた彼のことだから。
超高校級の幸運。
彼はそう呼ばれていたし、そう呼んでいた。思えば十神くんが殺されてしまった事件だってそうだ。彼の運の良さがきっかけ、引き金になってあんな悲しい事件が起きてしまった。だから、今回の事件も彼は自分の運を計画に組み込むと、そう信じることができた。
裏切り者の私が、狛枝くんを殺してしまった。それは意図したことではない。でも、彼は私たちを信じた。消化瓶を投げることも。私がその中の毒薬入りのものを手に取ることも。
だから、狛枝くんを一方的に責めることはできないしするつもりもない。
だって、そんなの“運”だもの。
私がたまたま毒薬入りのものを手に取ってしまったという不運。責めるとしたら自分の運のなさだ。
だから、その不運のせいでみんなを死なせてしまいたくない。
今、みんなを守れるのは私だけだから。未来機関の一員で、裏切り者と呼ばれる私だけだから。
ここで名乗り出ればみんなを救える。守れるんだ。
そう思うだけで少しだけ勇気が持てるようになった。
ただのプログラムだけど、実体はないけれど、私はここでみんなと過ごせた時間がすごく大切で、宝物だから。

だから、さようなら。
悲しくないと言ったらウソになってしまう。でも、みんなを救えるということが私には嬉しい。
楽しかった南国生活も、辛かったコロシアイ生活ともこれでお別れ。

どうか、私のいのちでこの殺伐とした生活が終わりますように。
みんなが笑顔で、帰れますように。



(ばいばい)

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