そんなある日の昼休み


「カントクー」
「なあに、じ…日向君」

あれ…?今の日向君の前のじってなんだ…?
じ…?じじい…とか?いや、同い年だぞオレとカントク。
昼休み。午後の日差しがギラギラと教室内に入り込んできていい感じに眠気が襲ってくる。
半分寝ている頭でカントクの名を呼べば先ほどの意味深な回答が返ってきた。
じってなんだ、じって。

「なぁ、カント…ク?」
「ちょ、ちょっと今こっち向かないで!」

首をへし折るんではないかというくらい勢いよく、力任せに顔を真横へやられる。
痛い、痛いカントク!
いつの間にか顔を真っ赤にして睨んでるし。何か悪いこと言ったっけ、オレ。
思い返してみても全くこれといって心当たりはないし、さっぱりだ。
それにしてもいい加減離してくれないだろうか。そろそろ首が限界にきてる。

「あの、カントク…そろそろ首がやばい」
「あ、ごめん…」

漸く自由になった首を元の位置に戻してみれば、未だにカントクの顔は赤い。
一体どうしたっていうんだ。
事情があるのなら聞こうとも思ったけれど、またさっきみたいに首を捻じ曲げられちゃかなわない。ここは触れずに、触らぬ神に祟りなしってか?

「さっきのは聞かなかったことにして!」
「…さっき?」
「なんでもない!」

あと5分で昼休みも終わるってのに、カントクは席を立ったかと思うとどこかへ行ってしまった。
本当、何だってんだ。


(間違えた…!もう何やってるの私!)

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