お星様に願い事


天へと伸びる笹がさらさらと揺れている。見上げると首が少し痛む。笹と一緒に飛び込んできた天の川が何とも不思議な気持ちにさせてくれる。何なのだろう。いつもと変わらぬ空だと思うのに、笹というあまり見ないものがあるからだろうか。まあ、何にしても一時的なものだろうと、いい加減首のだるさを覚えて一息つくためにいつもの高さへ戻す。
カランと、乾いた音がして振り返ると、桃色の髪を後ろでひとくくりにまとめて、いつもの暑苦しそうな服装から涼しげな浴衣へと着替えたエステルがにこり、と笑みを浮かべて立っていた。

「何してるんです?ユーリ」
「別に、何もしてねえよ」
「そう、ですか」
「なんか、あったのか?」
「え……?」

彼女の目が見開く。
なんか変なこと言ったか?
不安に思いながらも次の言葉を探す。何と言えばいいのだろう。
息を吸い込みはするものの、音に出すことができない。
だけど、これ以上間をあけることもできなくて苦し紛れに頭に浮かんだ疑問を口に出す。

「エステルは…何書いたんだ?」
「何がです?」
「これ」

言って首を上へと傾ける。
最初何を言っているのかわからない、というような顔をしていた彼女も、笹を見て、ああと納得したように笑みを取り戻す。

「わたしは…秘密です」
「なんだそれ」
「ユーリは何を書いたんです?教えてくれたらわたしも言います」
「願い事を人に言ってどうすんだよ」
「ユーリ、矛盾してます」
「じゃあさっきのはなしだ」

それっきり会話が止まる。
息苦しいとは思わないけれど、なんとなく引っかかるものはある。
でもこれ以上追及しようとも思わないし、彼女もおそらくそうなのだろうと思う。

「わたしのお願い事は、凛々の明星のみなさんがこれからも元気でいられますように、です」

そっか、と呟いてもう一度空を見上げる。
どこまでも広がる天の川がなんとなくさっきよりもきれいに見えた。




(エステルが笑顔でいられますように、って書いたなんて言えるわけないよな)
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みかちゃんお誕生日おめでとうございまーす!
これからもよろしくです\(^o^)/

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