悪酔い悪いよ


※大学ねつ造、若干ピンク色














「奥田さぁん」

甘い声を耳元で聞きながら、私の視線はじっと天井を見つめている。というよりもそこ以外見ることができない、というのが正しい。今の私はカルマ君に抱き枕の如く抱きしめられてベッドに仰向けで寝転んでいる状態なのだから。どうにかしてこの状況から抜け出したくて何か妙案はないかと先ほどから考えてはいるものの生憎一つたりとも出てこない。
カルマ君の声が耳元で囁かれるたびにじくじくと体の芯がうずく。自分の弱点を知れたことは喜ばしいけれど、このままこの状態が続けばきっと私もカルマ君も我慢ができなくなることは目に見えていた。だけど泥酔している彼を無理矢理引きはがすのはどうしても申し訳なさが先だってできない上に、そもそも酔っている人間に対してどういう対処をするのが正しいのかもわからない。それに加えてカルマ君の方が力が強いためどう足掻いたところで振りほどけないのは目に見えていた。結局されるがままその場の雰囲気に呑まれる形で何もできずにただじっとしていることしかできないでいる。

「ねぇ奥田さん」

いつの間にか私の視線の先にはカルマ君が映り込んでいて、押し倒される体勢になっていた。振りほどこうにも力の差と重力が手伝ってどうにも困難だ。

「服脱いで」

言いながらカルマ君の手は私の服の中をまさぐる。くすぐったさに身をよじると、それに気をよくしたのか彼の手はどんどん私の体を這っていく。

「ふふ、カルマく、やめてください」
「やぁだ」

お酒が入っているからか、赤みの増した顔と若干潤んだ瞳に胸が高鳴る。優しく塞がれた唇。口腔内を蹂躙するように這い回る舌。離された唇から銀の糸がぷつんと切れて、それがとても官能的だった。頭がぼぅっとして、すべてを彼に任せてしまおうかと瞼を閉ざしたその時だった。
急に彼の体が、糸が切れた人形のように動かなくなって私の体に全体重を預けてきた。何事かと驚いてよくよく見てみれば、規則正しい寝息と上下する肩が視界に入る。
どうやら夢の世界へと旅立った様子だった。何もこんな中途半端な状態で放置することもないじゃないですか……。口にできない言葉を飲みこんで大きく息を吸い込んで吐き出す。

「おやすみなさい、カルマ君」

背中にゆっくりと手を回して、どうしようもできない熱をどうしたものかと考えながら、瞼を閉ざした。



(え、あれ? なんで奥田さん俺の下で寝てんの?)

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -