最初のお相手は


※大学生くらいの設定で思いきり事後です。















本日二度目の情事を終えて二人してベッドに体を投げ出す。俺は何ともないけれど、奥田さんの方はあまり体力がないからか、若干肩で息をしていた。さすがにやりすぎたかなぁとも思ったけれど、彼女を前にして己の理性が働くわけもなく。結局いつも限界ギリギリまで無理をさせてしまう。それでも俺を受け入れて受け止めてくれる彼女の優しさに胸をぎゅっと締め付けられる。
服を着るのが億劫で傍に落ちていたタオルケットを拾って並んで包まれる。一糸纏わぬ姿でタオルケットをかけるとなんだかくすぐったい。その感覚はどうやら共有していたようで正面にはむず痒そうな表情があった。
それから間もなくゆっくり、大きな呼吸を数回繰り返して、ためらいがちに彼女の口が開かれる。
「カルマ君っていろいろと慣れてますよね」
ここでそんなことを言われるとは思っていなかったから一瞬言葉に詰まる。でもそれは本トに一瞬にとどめていつもの笑みを作る。
「そう? 俺、奥田さんが全部初めてなんだけど」
「そうなんですか?」
意外そうな声で言われて、女遊びの激しい奴だと思われていたのかと若干肩を落とす。悪戯好きだし嫌がらせも大好きだけど女遊びはしてこなかったんだけどなぁ。それこそ、かれこれかなりの年数を奥田さんに捧げているつもりだったのに。まぁ、そんなこと彼女は知らないし――訊かれれば口にするけど――知らなくてもいいと思ってる。こうして、いま奥田さんと交際できているのだから俺の片想い期間をひけらかす真似はしない。あれは言うなれば俺だけの宝物だし、そうしておきたい。
腕を伸ばして奥田さんを抱き寄せる。小さな悲鳴が聞こえたけれど聞こえない振りを通してしっかりとその小さな体を腕の中に閉じ込める。
「そうだよ。恋人作るのも、キスするのも、こうやって愛し合うのも全部初めて。奥田さんだって似たようなもんでしょ?」
「え? 私のファーストキスはビッチ先生ですよ」
「あれはノーカン」
奥田さんは目をばちくりとしながら、じっと俺を見つめている。なんでそんな意外そうな顔をしてんの。あんなのノーカンに決まってるでしょ。ほぼ罰ゲームじゃん。
口に出せない言葉を苦しく呑み込む。
「だめなんですか?」
「逆に奥田さんはファーストキスがあのビッチでいいの?」
「え? えっと……」
いや、そこで考え込まないで即答してよ。
確かに事実として元E組のほぼ全員あのビッチの餌食になってるわけだけど、もうあれはキス魔に襲われたみたいな認識が正しいって。
暫くの間が空いて漸く彼女の口が開かれる。
「よくない、かもしれません」
「でしょ」
「ビッチ先生を抜かすとしたらそうですね、私の初めてはカルマ君です」
えへへ、なんて可愛く笑うんだもんなぁ。本ト奥田さん俺のツボ刺激しすぎだって。我慢できずにその柔らかい唇に自分のそれを重ねる。彼女の舌を絡め取り口腔内を蹂躙すれば、自然と吐息が漏れる。……あ、やばいなぁ。
身に纏うものを身につけていないために熱がダイレクトに相手に伝わってしまう。自分自身がわかっていることは相手にも丸わかりで、どんどん頬が染まる奥田さんの目があからさまに泳いだ後、困った笑みが浮かぶ。
「あの、カルマ君……」
「ごめん、もう一回」
非難の声も拒否の言葉も言わせないように再びその唇を重ねて第三ラウンドの幕を上げた。



(もう無理です……!)

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