相合傘なんてごめんよ


鬱陶しく音を立てて落下してくる水滴を恨めしく思う。
ザーザーとバケツをひっくり返したかのような雨が気分をより一層落としてくれる。
盛大なため息をこぼしてみても、晴れ間なんて一寸さえも見えてこない。

「おー、野ばらちゃん」
「遅いわよ」

校門の前で待つこと15分。
漸くやってきた反ノ塚を睨もうと視線を上げて、ふと気付く。

「反ノ塚、あんた傘は?」
「それがさー、誰かにパクられたっぽいんだよね。おかげでずぶ濡れ」
「そう」

おかしいな、なんて呟きながら反ノ塚はあたしの方へと視線を真っ直ぐ向けてくる。

「なあ、野ばらちゃん」
「嫌よ」
「まだ何も言ってないじゃん」
「言わなくてもわかるわよ。傘に入れろって言いたかったんでしょ?」
「そうだけど」

あんたと……男と相合傘なんて嫌に決まってるじゃない。
女の子となら大歓迎だけど。
だけど、このまま放置しとけば必ずこいつは風邪をひくに決まってる。
今現在でも雨は降り続いているし、進行形でずぶ濡れになっている。
そうなると面倒になることは見え見え。というか、そんなことになったらあたしの立場というものがなくなってしまう。
大きなため息を一つこぼす。
仕方ないわね……。

「ほら、あんたが傘を持ちなさい」
「え?」
「傘、入れてあげるからあんたが持ちなさいって言ってるの」
「わかったよ」

あたしから傘を受けとると、反ノ塚はこっち寄りに傘を傾けて隣に並ぶ。
男くさい、むさい。
もう一度大きなため息を吐き出すと、あたし達は歩き出した。





(あぁ、もう……!早く着かないかしら……)


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ついった140字短文その2

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