雷鳴轟く昼下がり


今年の天気は異常だ――というのを今朝のお天気ニュースで見たのを今になって思い出す。
ああ、確かに。教室から窓の外を眺めながら一人納得する。
梅雨時期はいつもじめじめとした雨が降っているのに、今年は雷だの豪雨だの、それこそ台風みたいな天気が続いている。
先ほどからごろごろと不穏な音が聞こえるけれど、大丈夫だろうか。
帰り際に雷に打たれた、なんて洒落にならない。
できることならこのまま学校に泊まってしまいたいけれど、きっとそれは許してもらえないだろう。
その時。一瞬光が走った――と思ったら次の瞬間には轟音が響く。
驚いて肩をすくめる俺と、どこか楽しそうな顔をしている清水。
え……なんでそんな楽しそうな顔してるんだ清水。

「し、清水……」
「なに?」
「雷怖くないんか?」
「菅原は怖いの?」

言葉に詰まる。
正直言うと、あの轟音が苦手だ。
閃光の後にやってくる、耳を塞いでも防げないあの音。
どうしてもあれだけは我慢できない。
歳をとるにつれて段々耐性みたいなのはついてきたけれど、やっぱりいきなり来ると驚くし反射的に耳を塞ぎたくなる。

「雷とか嵐とか好き。なんだかわくわくする」
「ええ? すごいなー」
「菅原は嫌い?」
「嫌いって言うか、苦手……だな。大きな音するし、嵐とかだと学校来るのも大変になるし。小学校のころは学校が休みになって嬉しかったけど、今は一日でも多く練習を積んで強くなりたい。家だと筋トレくらいしかできないからさ」
「そうだね」

言って、清水は再び窓の外へ視線を向ける。
俺も恐る恐る視線を戻す。
相変わらずな天気だし、これから一変するとは思えない。
ため息を一つ吐き出す。
願わくばこの天気が快方に向かってほしいのだけれど、今は梅雨時期だし無理な話だろうと思う。
部活終わりまでに、雷さえやんでくれれば儲けもんくらいに考えておくか。

「菅原。そろそろ部活始まる」
「おう……。行くか」

鬱々しい気分を振り払うように頬を両手で叩き、鞄を背負う。
既に教室のドア付近のところで待っている清水を追って、歩き出した。



(うわ、また鳴った!)

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