そして今日も空は晴れて 1
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 キミにもらった言葉も想いも、わたしをつくる大事なカケラ。



 髪をなびかせて吹く風は肌寒いくらいに、冷たくなっていた。もうじき秋も終わるんだなと、淋しさが胸に生まれる。

 冬が来たら一年が経つ。大切な人とお別れしたあの日から。

 そして、別の意味でも一年が経つ。大好きな彼と出会ったあの日から。

 頭の中でぼんやりと、ここ最近の目まぐるしい日々のことを思い出して、わたしは笑った。誰かが側にいるわけではないから何も言われないけど、端から見たら相当怪しかったと思う。それくらい、締まりのないカオだっていう自覚はあったから。

 ――うん。幸せだ。

 その想いを新たなものにして、わたしは目的地に歩みを進めた。服は制服、腕には白い花束。そんな格好のわたしが一人、やって来た場所。そこは――。

「――久しぶり、有ちゃん」

 まだ綺麗なままそこに在る、有ちゃんのお墓。わたしはそれに向かって笑いかけた。

 暫く黙って立っていたけど、一度深く息をついて、わたしはごそごそと動き始めた。持ってきた花束を生けて、ウチの仏壇から失敬してきた線香に火をつける。そして墓前にしゃがみこんで、そっと手を合わせた。

(えーと)

 今日はただ、お墓参りに来たというわけじゃない。

 あれこれと頭の中で考えながら、わたしは彼に語り掛ける言葉を用意する。そして、ゆっくりと口を開いた。

「あのね、有ちゃん」

 他に誰が聞いてるわけでもないのに、わたしは声を極力抑えて話した。

「有ちゃんの友達と会って、聞いたよ。有ちゃんがわたしのこと、どんなふうに大事にしてくれてたのか」


 ――嬉しかったよ。


 はっきりと告げる。言えなかった、言葉の欠片たち。

「わたしもね、同じように想ってた。大事だった。大好きだった」

 もちろん、今もそうだけど。でもそれは、少しカタチを変え始めている。

「有ちゃんとお別れした日に、優しい人に会ったんだ」

 実際ちゃんと知り合ったその人は、思ってたより短気で口も悪かったけど。苦笑いしながら、わたしは続ける。



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