まいりました!
しおりを挟むしおりから読む目次へ








 それはある日の帰り道で起こった、ちょっとイイ話。



 いつもより、曽根の練習が早く終わった放課後。

 久しぶりにゆっくり歩く帰り道。

「喉が渇いた」という彼に連れられてやって来たのは、駐車場を完備した大きめのスーパーだった。

 曽根はペットボトルのスポーツドリンクと菓子パンを。

 わたしは紙パックのジュースとチョコレートを。

 それぞれ手にして、同じレジで並んで待っていた。

 夕方のスーパーはタイムサービスの影響なのか、すべてのレジが混みあっていて。長く待たされそうな予感に、わたしはちょっとうんざりしていた。

 そして、そうこうしているうちにわたし達の前に並んでいた女の人の順番になった。

(うわ、大変そう……)

 今の今まで気づかなかったわたしはその人の姿を見て、思わず顔をしかめてしまった。

 というのも、その人はカートにビールの入ったダンボール箱とトイレットペーパー、それと細々したものが入ったレジバスケットを載せていて。

 それだけでも相当な量で大変だなーと思ったんだけど、彼女はそれだけじゃなかったんだ。

 何せ、スリング(っていうだってね、あのハンモックみたいなの)で赤ちゃんを前抱っこしていたんだから。

 ぐずる赤ちゃんをあやしながらお会計をしている女性を見て、思わず感嘆のため息。

(お母さんって、たくましい……)

 すごいなぁと見惚れていたら、今度は何やらレジの女の子が困り顔。

 両手の塞がってるお母さんの代わりにビールの箱をカートに載せようとしてるけど、なかなか上手くいかないようだ。

 これは手伝ったほうがいいかな、とわたしが少し身動いだとき。

 それより早く動いたヒトがいた。


- 212 -

[*前] | [次#]






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -