そうして始まる僕らのカタチ 5
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 そのキモチが『特別』になったら。

 次に願うことは何だろう?



 真正面から『好きだ』と言われて、わたしはやっと確信できた。

 やっぱり、わたしの成瀬に対する気持ちも同じ――『特別』なものなんだってことに。

 だけど、そのとき、わたしははっきりと言えなかった。言いそびれてしまったんだ。『好きになってもいい?』というわたしの科白に、彼が嬉しそうに頷いてくれたから。

 今はいいかな、なんて安心してしまって。

 けれど、成瀬の真っ直ぐな言葉を聞いて思ったんだ。わたしもちゃんと伝えたい、曖昧なままにしておいたらダメだって。

 わたしがあの言葉を聞いて幸せだと感じたみたいに、彼にもそう思って欲しい。

 だから伝えよう。だから届けよう。今度はわたしが頑張って。

 そう思ってその日、寝る間も惜しんで考えました。冷えきって疲れた身体に鞭を打って考えました。

 そしたら、ものの見事に――。



「――具合は?」

 翌日の昼休み、保健室に入ってきた成瀬が開口一番でそう言った。ベッドに横になったわたしはへらりと笑って、それに答える。

「へーきー」

「午前中半ばにして撃沈した人間が言う科白じゃねーな」

 彼は呆れたように言うと、手にしていた鞄を示して肩を竦めた。

「これ、頼まれ物な」

「ありがとー」

 それが自分の鞄であることを横目で確認して、わたしはお礼を言う。成瀬は鞄をわたしの足元の辺りに載せると、ため息混じりに訊ねてきた。

「熱、計ったんだろ?」

 その問いに頷いて、わたしはVサインをしてみせた。

「八度ジャストー」

「言ってる場合かよ」

 熱のせいでテンションがおかしいわたしに、思い切り顔をしかめる彼。

「朝っぱらから変だと思ったら……」

 頭をがしがし掻きながら成瀬が言う。

「熱があるって分かってんなら休めっての」

「だって大丈夫だと思ったんだもん」

 事実、登校時は微熱程度で動くのに問題なかったんだ。時間が経つにつれて、熱が上がったっていうだけで。

 どうしても今日、学校に来たかったわたしには熱なんて些細な問題でしかなかったんだから。

 だけど成瀬がそんなこと知るはずもない。だからどことなく怒った声で、彼はわたしに注意する。



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