連鎖する僕ら 10
しおりを挟むしおりから読む目次へ






「瀬戸」

 自分でも驚くくらい穏やかな声で、俺はその名を呼んだ。それから彼女に向けて、手を差し出す。

 瀬戸はきょとんと瞬いてから俺の手を見つめ―― 一瞬の後に破顏した。これ以上ないってくらい甘ったるい、最高の笑顔で。

「これからもよろしくな」

「こちらこそ!」

 告げた言葉に、すぐに照れたような声が返ってきた。瀬戸は笑みを絶やすことなく、そのまま俺の手に自分の手を重ねる。

 すっかり馴染んだその感触に、これ以上ないくらいの幸せを感じて――俺もまた口元を緩めた。



 手を繋いで、歩き出す。

『ずっと一緒に』を誓うには、まだ幼くて不器用な想いを胸に抱いて。

 これから歩く道のりはまだまだ長くて。望んだ未来を手にするには、越えるべき山が沢山あるのだろうけど。

 それでも、いつかたどり着きたいと心から願ってる。

 隣を歩くキミの笑顔も涙も全部、取りこぼさないで守れるくらい、強くなって。

 一緒に並んで歩いて行ける、そんな未来に――。



『連鎖する僕ら』終

- 349 -

[*前] | [次#]






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -