天国まで、続いてくような
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「ごめん、ね」

 ひどく申し訳なくなって、わたしは小さく頭を下げた。曽根はぷいと顔を背けて、ぶっきらぼうな口調で言う。

「悪いと思うなら、あんまり溜め込むな。不安なことは、もっと早くに小出しにしとけ」

「ハイ」

 何かあるたびに言われるのと同じこと――それを聞いて、わたしは素直に頷いた。すると、曽根は大きく咳払いをひとつ。

「――少なくとも」

 そうして告げられたのはすごく偉そうだけど、わたしにとってはとても嬉しい言葉だった。

「お前が待ってるんなら、そこに俺は戻ってくる。グラウンドからだろうが、何処からだろうが……それは約束するよ」

「曽根……」

 胸の中にじんわりと広がっていく熱。それは夏の暑さを物ともせずに、わたしの内側(なか)を巡っていく。

 その衝動を抑えることなく、わたしは盛大に頬をゆるめて、彼に告げた。

「――大好き」

 すると曽根は軽く瞬いて――それから、ニヤリと笑った。

「――知ってる」



 真昼の炎天下。誰もいない、坂の頂上。

 重なった唇は、ひりつくくらい熱くって。

 このまま溶けちゃえればいいのに――なんて、本気で思った。



 そして、曽根は野球を続けるために、県外の大学に進学することを決めた。わたしがそのことを知ったのは、もう少しだけ先の話。



『天国まで、続いてくような』終


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