※夢主に襲われるアルミン
※ぬるいですがちょっと注意



訓練でヘマをしてしまった。
立体機動の訓練中、今日の夕飯は何かなぁ、まぁ考えるまでもなくいつもと変わらない硬いパンと味の薄いスープなんだろうなぁとどうでもいい事を呑気に考え耽っていたらものの見事に着地に失敗。
まさにぐき、と音がしたんじゃないかってぐらいの激痛が足首に走りその場で呻いた。
近くにいたユミルとライナーが大丈夫か、とか医務室までおぶってやろうかと声を掛けてくれたけど訓練中の彼らに迷惑をかけるわけにもいかなかったので、大丈夫一人で行けるよとひょこひょこと片足を引きずりながらなんとか自力で医務室に向かい、処置をしてもらった。
ぐるぐると包帯を巻かれている間、鐘が鳴ったから今日の訓練は終わったんだろう。
この後はすぐに夕飯だけど誰か私の分取っといてくれるかなぁ。
手当てをしてくれた医務室担当の兵士はキース教官に報告に行くと言っていなくなってしまったので、ここには私一人だけ。
あーあ2、3日は体を動かす訓練は出来ないかななんて考えていると医務室の扉が勢いよく開かれた。

「ナマエ!」
「あれ、アルミン」
「怪我したって聞いたけど本当なの!?」

珍しくかなり焦った様子のアルミンが飛び込んで来て、ベッドに座っている私を確認するとずんずんと近付いて来る。

「やっちゃった。でもただの捻挫だよ。エヘ」
「エヘじゃないよ…。何で捻挫なんかしたの?」
「今日のご飯は何かなぁって考えてたら着地に失敗して」

正直にそう言うとアルミンは眉間にしわを寄せ心底呆れたと言わんばかりにはぁ、と大きく溜め息を吐いて何やってるんだよ…と呟いた。

「心配して来てくれたの?」
「そりゃ心配もするよ…。ライナーが、ナマエが怪我して医務室に行ったって教えてくれたんだ」
「そっか。ライナーにも心配かけちゃったかな」
「そうだよ。ナマエは僕なんかよりずっと運動神経は良いはずなのにたまにそうやって怪我をするよね。今回は大した事なかったから良かったものの次は捻挫じゃ済まないかもしれないのに」
「……」
「大体ナマエは毎回気を抜きすぎなんだ。もうちょっと注意深くなればこういう事も減ると思うのに。いつも心配する僕の身にもなってよ…」

アルミンは優しいけれど、たまに煩わしいぐらい心配性でちょっと面倒だなと思う時がある。
心配してもらえるのは有り難いし嬉しいけど度が過ぎるとそれも考え物なわけで。
まだぶつぶつと文句を言っているアルミンの腕をぐい、と引っ張ってこちらに引き寄せ、体を捻ってその勢いのままベッドに押し倒した。
身動きが出来ないように両手をがっちりとシーツに縫い付ける。
怪我をしているにも関わらず俊敏な動きだと我ながら惚れ惚れする。

「!?なっ、何す…」

わけがわからないと言った様子で大きな青い瞳を更に見開いて驚いていたけれど、構わずうるさいその唇に自分のそれを押し当てた。
息を飲む音。
見開いていた目はぎゅ、と閉じられて眉が寄せられる。
静かになった、と少し優越感に浸った。

「んっ……ちょ、ナマエ…!」
「なに」

唇を離すとはぁと息を一つ吐いて睨んできた。
でも頬は赤いし涙目になってるしで残念ながら全く迫力がない。

「何、じゃないよ!い、いきなり何するのさ…!」
「だってアルミンうるさいから」
「う、うるさいって…!だからって、その、こんな方法取らなくたっていいだろ…!」

別に初めてってわけじゃないのにいつもこうやって真っ赤になって恥ずかしがるから出来ればそのまま初心な反応をし続けてほしいって気持ちと、いい加減早く慣れてほしいという気持ちがないまぜになる。

「こうすればうるさいアルミンも黙るしキスも出来るし一石二鳥でしょ」
「そう言う問題じゃな……んん!」

また何か小言を言われそうだったから口を塞いだ。
頭は良いはずなのに学習しない目の前の彼がいとおしい。
それともわざとやってるの?
まぁどっちでもいいか。

啄むみたいに唇をつけたり離したりを繰り返す。
角度を変えて何度も口付けると息を止めていたらしいアルミンが息苦しそうに呻いたから少しだけ唇を離すとはぁ、と息を吸うために口を薄く開けた。
その瞬間を逃がさず自身の舌をねじ込んで熱い口内に進入する。
びくり、と微かに揺れる肩。
歯列と上顎をゆっくりなぞってから、逃げているのか戸惑っているのかどっちつかずな舌を容赦なく捕まえて絡めとる。
私たちの他に誰もいない医務室にいやらしい水音とお互いの息遣いだけがやけに響く。

「…はっ、…」
「んっ…はぁ…ナマエっ……」

唇を離すとどちらのものともわからない銀糸がつ、とアルミンの口の端から零れ出て、それをすくうようにちろりと舐め上げた。
顔を少しだけ離してアルミンを見下ろすと、瞳を潤ませ上気した頬で熱に浮かされたようにはぁはぁと荒く息をしながら私を見つめている。
何この色っぽい表情。
襲ってくれって言ってるみたいで思わず笑みが零れた。

「…ふふ。やらしー顔」
「なっ…!ナマエがこんなことす、う、」

赤い顔を更に赤く染め上げて何か言いたげに口を開いたけれど、素早く首筋にちゅ、と吸い付くと小さな呻き声を出して言い掛けた言葉が消えた。
白くて細い首に微かな赤い跡。

「ちょっ…見える所に跡つけるのやめてよって言ってるのに…!」
「アルミンは私のだから悪い虫がつかないようにって気を配ってるの」
「つかないよそんなの…」

私のっていうのは否定しないんだ、とちょっと可笑しくなる。

「ミカサがしてるみたいなマフラーあげよっか。それで隠す?」
「いらないよ。ナマエが跡つけるのやめてくれれば済むことだろ?」
「だってやめられないもん」
「まぁ何度言っても無駄なんだろうね…」

半目で私を見上げたアルミンは諦めたみたいにはぁと一つ溜め息をついた。
そうそう、それが利口。
赤い印を指でなぞってにやり、と口角を上げて笑いながら見下ろす。

「ねぇ、このままじゃ終われないよね」

そう言うとじとりと私を見上げる青い瞳と目が合った。
でもその瞳の奥には熱い情欲が含まれているのを私は知ってる。
そして彼の目に映る私もまったく同じ瞳をしてるんだろう。
何か言いたげなその唇にもう一度噛み付いた。



君に溺れる
もうどうにでもしてよ





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