※オリキャラが出ます



アルミンを呼んで次の壁外調査や資金繰りについての話し合いをするつもりが、何故か呼んでもいないミリアまでのこのこと部屋にやって来やがった。
置いてくればいいものをアルミンもあいつを甘やかすもんだから一層付け上がる。顔を合わせれば下らない喧嘩をしてしまうのは昔から変わらない。
そのせいで当初の目的だった会議も放棄し三人で実のないお喋りをしていたら部屋の扉がコンコン、とノックされる音が響いた。

「ジャン団長、失礼します」
「おー入れ」

威勢のいい声で訪ねて来たそいつは、扉を開けると部屋の中をぐりぐりとした大きな目で見渡した。
こいつは確か…。

「こちらにミリア班長は…あ、いた」
「あれ、ルイスくん。どうしたの」

そうだ、ミリアの班の班員だ。
確か一年程前に調査兵団に入団して、それからずっとミリアの班に所属しているんだったか。

「どうしたのじゃないですよ。班員会議に班長がいなくてどうするんですか」
「えっ、あれ?今日だっけ?」
「そうですよ。しっかりして下さいよもう」

何かと班長らしからぬミリアの世話を焼く様子は前から見てきたが、仮にも上官に対して呆れた視線をやって溜め息を吐く姿はなかなか度胸がある。
ミリアよりしっかりしてるんじゃないのかこいつ。
それに、別に威張り散らすつもりはないが調査兵団団長と分隊長という幹部を前にして物怖じしない様子はなかなか肝が据わっているんじゃないかと少しばかり感心してしまう。

「すみません、ミリア班長をお借りしても宜しいでしょうか?」
「おー持ってけ。助かる」
「ひどい!横暴だ!」
「ハイハイいいから行きますよ」

適当にあしらいながらミリアの腕を掴んだそいつは部屋から出て行く時、ちらりとアルミンの方を見た。が、すぐにまだ何か文句を言っているミリアを諌めながら去って行った。
静かになった部屋にオレとアルミンだけが残されてやれやれと溜め息を吐く。

「騒がしいのが行ったな」
「そうだね」

自分の恋人の皮肉を言われているというのにアルミンはくすりと穏やかに笑った。まぁ今更そんなことで怒るような間柄じゃないと言うのは分かりきってはいることだが。

「前から聞こうと思ってたんだが…お前らは、その…一緒になるつもりはないのか?」
「え?どうしたの急に」

今更ついでに素朴な疑問を投げ掛けると、アルミンは少し笑いながら不思議そうな顔をしてオレを見た。

「いや、別に他人のことに口出しするつもりはねぇけどな。いい年なんだしもう十年も一緒にいるわけだろ」
「まぁ…調査兵団にいるうちはどうだろうね。ミリアともあんまりそういう話はしないし、はっきりしたことは考えてないんじゃないのかな」
「ガキでも出来れば変わるんだろうけどな」

ニヤニヤしながらそう言うとアルミンは少し顔を赤くしながら「下世話な話はなしだよジャン」とやんわり忠告した。

「それにしても十年か。お前らよく続いてるな」
「そうだね。まさか僕も当時はこうなるなんて思いもしてなかったよ」
「オレもミリアから話を聞いた時はこんなに長く続くとは思ってもみなかったが…本当、人生どうなるかわからねぇな」

当時ミリアからアルミンに告った、なんて話を聞いた時は正直結構驚いた。
好きだったことも知らなかったし、ミリアがアルミンのようなタイプを好きになるのも何となく意外だった。
その後まぁ色々あって、今じゃ一緒にいることが当たり前の光景になっているから本当に何が起こるか分からない。

「十年か…。色々あったね」
「まぁな」
「今だから言うけど、ジャンに嫉妬してた時期もあったよ」
「はぁ?何でだよ」
「ジャンとミリアは昔から仲が良かったじゃないか」
「勘弁しろよ。つーかアルミンも嫉妬とかするんだな」
「まぁ人並みには。今はジャンに嫉妬することはなくなったけど、また新しい悩みの種が出来て結構大変なんだよ」
「あー……」

何となく察したオレの頭に浮かんだのはさっき訪ねて来た奴の顔。
ちらりと盗み見たアルミンの表情は読めなかったがこりゃもしかしたら一波乱あるかもな、なんて漠然と思った。



********************



ずるずると腕を引かれながら廊下を歩いていたけれど、少し歩きにくかったので一人で歩けるよと声を掛けたらぱっと私の腕を掴んでいた手が離れていった。
前を歩く彼の背中を見つめながら前からちょっと気になっていたことを聞いてみる。

「ねぇねぇ」
「何ですか?」
「ルイスってさ、ジャンのこと嫌いなの?」
「は?いや別に…。何でですか?」
「んー…ジャンを見る目がちょっと怖いかなって」
「元からこういう顔なんです」
「あら。それはどうも失礼しました」
「…どっちかって言うとジャン団長よりアルミン分隊長の方が…。いや、嫌いとかじゃないんですけど」
「ふーん?アルミン苦手なの?」
「苦手というか、何を考えてるのかよく分からないところはあります」
「そうかなぁ?」
「あなたは親しい間柄ですからそんなことはないんでしょうけど。…一つ聞いてもいいですか?」
「どうぞ?」
「アルミン分隊長のどこが良いんですか?」
「えっ!長くなるけどいい!?」
「…じゃあいいです」
「えー!聞いてよ!」
「やっぱり聞きたくないです」

自分から聞いておいてぷい、と拗ねたように顔を背けてしまった彼は一体どうしたのかな。
ずんずんと速度を上げて歩く背中を追いかけるだけで必死だ。
待ってよ、と声を掛けたら彼はぴたりと足を止めて振り返り、早く行きますよ、と呆れたような顔をして溜め息をついた。



その目は自分を見ない
どうして好きなんだろう






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -