「ーーあ、おはようございますカリム中隊長!」
俺は食堂でアーサー達とわかれて昨日の場所へ向かった。ナナさんは動ける格好に着替えてくると言っていた。
「ナナから聞いたぞ。これからアイツと組手をやるらしいな」
「出会ったんですか?」
「ついさっきな。まぁ頑張れよ」
ーーそういえばナナさんはカリム中隊長の部下だっけか。
「あ、はい…!ありがとうございます!」
・
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「よろしく」
ナナさんはラフなトレーニングウェアにパーカーを羽織って戻ってきた。……いいのかそれ。俺は炎を出しながら蹴んのに。大隊長には傷一つ付けることは出来なかったけど、シャツは燃えていた。ちょうどその……胸のあたりが。
それなのにそんな格好でいいのかこの人。
「……あの。俺、火ィ出る脚で蹴りますよ?」
「うん」
「その……服が燃えるかもしれないんですよ?」
「うん」
「…………」
この人俺や他の新人に対してほとんど表情変えねェから、分かってんのか分かってねェのかが全然わからねェ。
「燃えても君は悪くないよ。私は昨日みたいにハンデつけた方がいいの?」
そう言ってナナさんはパーカーのチャックを胸元まで上げた。悪気があって言ってるんじゃねェのはわかる。この人は多分こういう人なんだ。
「ナシでお願いします。第三世代全開でどうぞ………!」
「わかった」
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ーーその頃、大聖堂内では。
「また彼ですか。本当に元気が有り余ってますね」
「ああいう元気な新人がいると、俺たちも漲るよな!」
「まぁ、そうですね。彼は来て早々バーンズ大隊長に組手を申し込み、大隊長のシャツに穴を開けた新人ですから、只者でないのは間違いない」
「俺もそう思う。ーーだが相手はナナだ」
ニヤリと笑うレッカのその一言に、フォイェンもカリムも同じ意見だった。
それもそのはず、ナナを鍛えたのはこの三人であり、ナナはこの三人のほぼ同期なのだから。
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