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最初に目にしたのは、見知らぬ天井だった。

頭が痛い。ガンガンする。あまりの痛みに目の端から涙がこぼれ落ちる。そういえば初めてお酒を飲んだ時もこんなだった。

「いっ……」

目が覚めて、こんな綺麗な場所で寝てるってことは、私はあの強烈な眠気の後に倒れて病院に運ばれたってことだ。

………どうやって運ばれたのかまではわからないけど、強烈な眠気の中、ジョーカーが私に出した条件だけはちゃんと覚えてる。

私は地上に戻された。

ーーそれにしてもあの闇研究者……。あの強烈な眠気も倒れたのもこの頭痛も…絶対あいつのせいだ。信じて飲んだ自分もバカだけど、この頭痛は明らかに異常でしょ。今度名前を呼ぶときはリヒトでも灰島の天才でもない。あんなヤツは詐欺師でいい。

「…(コレじゃ今日退院は無理だろうな)」

こんなにムカついたのは久しぶりだ。まぁそれも当然か。いつもは行動を共にする先輩達や部下の前で恐怖と目的、そしてそれに対する手段を隠すため、感情と余計な言動をなるべく抑えるようにしていたけど、彼にはそれをする必要が全くないからだ。

………ん?まって。あの詐欺師ーー灰島の天才…?研究者……?

詐欺師が私に盛った薬は、アイツが作ったものに違いない。そしてあの詐欺師は天才研究者…。ーーもしかして、この耐えがたい頭痛は、あの詐欺師なら計算済みなんじゃ?

「………いっ…」

絶対にそうだ。
あの詐欺師、ヴィクトル・リヒトは私の性格から私の行動を読んで邪魔をするつもりだ。

真実を知るためなら付き合いの長い先輩すらも欺く。そんな私なら、ジョーカーに出された条件を達成すべく、地上に戻ってすぐに三人の先輩を調べ始めるだろう。
というか実際にそうするつもりだった。

ーーそれの一体何がいけないというのか。彼らだって伝導者とやらの一味を捕らえられるのは好都合のはずなのに。

と、その時だった。カーテンの向こうからコンコンコンとノック音が聞こえた。





天才は詐欺師
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