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テスト期間1-登校編


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「おはようアランくん!」

"何事もなかったかのように"バスに乗り込んだ身長180センチオーバーの仙台刈り金髪は愛想の良い笑顔で、後方の席に座っているバレー部の先輩でありエースの尾白アランに挨拶をする。
そのあとから間髪入れずに『アランくん聞いて』と切実な顔で乗ってきたのはバレー部の優秀なマネージャー、七志はなこ。

「おーおはよう仲良し三人組!で、またなんかやらかしたんか侑!」

「やらかしてへんし!」と侑は逃げるように素早く尾白の隣に座った。

はなこが尾白と侑の反対側の席に座って『やらかしたし。ホンマありえへん』と座席から身を乗り出して言っていると、後から来た侑の双子の兄弟の治がマイペースにやってきて「奥詰めて」とはなこに言う。

はなこが大人しく奥まで詰めると、代わりに治がアランに侑の悪行を晒した。

「ハナが歩きながら食べとったバナナをツムが横取りしてん」

『そう!はなこが朝ごはんに食べるん忘れとったバナナをな、歩きながら食べとったらな?ツムがいきなし走ってきてバナナ盗んでその場で全部食べたんですよ』

尾白アランのことはクラブの頃から知っている。故に宮兄弟とはなこにとって尾白は先輩であると同時に仲の良い友達でもあった。
だからこの三人は尾白との距離が他のどの部員よりも近い。

「侑!お前は女子の朝ごはん盗んでまで腹満たしたいんか!」

「そうや!でも普通の女子にはやらへんで!やってええ相手かどうかはちゃんと考えとーねん、偉いやろ!」

どうや、偉いやろと本心から思っている顔の侑に尾白も治もはなこも、いつも通り朝から呆れさせられた。

『じゃあはなことサムはやってええ相手や思てんの?』

「せやな」

「やめとけ。この馬鹿には何言うても無駄や」

「誰が馬鹿やねん!」

開きなおる侑にはなこが一発しばいたると言わんばかりの勢いで治の隣から身を乗り出すと、治がそれを手で制す。

完全に侑が悪いというか、普段から侑が単品で悪いことの方が多いし、治自身もこれまで何度も被害者になってきたので今日に限らず治は基本的にはなこ側に立つ。

「テスト嫌やなー」

もうすぐ学校に着くバスの中で、登校する生徒や流れる景色を見ながら尾白がぼやいた。

『ねー』

今日から朝練もない。
稲荷崎高校は期末テスト期間に入り、すべての部活動が活動を停止していた。


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