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「#エロ」のBL小説を読む
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始まり始まり
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「うわ、はなこじゃね?あれ」

「ホントだ。行こうよ」


______________渋谷
とあるゲームセンターでプリント倶楽部のブースから出てきた女子大生数人のグループは、同じ来良大学に通うよしだはなこを見つける。しかしはなこはそんな彼女たちが近付いてくる事に目もくれず、UFOキャッチャーを楽しんでいた。


「ねぇ」

グループのうちの一人が話しかけると、ようやくはなこはグループに顔を向ける。

『……?』

実を言うと彼女達は、はなこと高校も同じでクラスも何度か一緒になったことがあるのだが……真顔で「誰?」と言わんばかりの反応をされてしまい、苛立ちが増す。

「っ……やっぱ調子乗ってる!」

「あんたさぁ、”折原さん”にはもう近づかないでってこの前も言ったのに…一昨日も一緒にいたでしょ?ワザとなの?」

興味なさげにUFOキャッチャーを進めていたはなこだったが、”折原さん”というキーワードにはピクリと反応した。
その所為で→ボタンを離してしまい、狙っていたぬいぐるみの寸前でアームが止まってしまった。

『えー…と、ゴメン。なんでだっけ』

____________折原。折原臨也。新宿で情報屋をやっており、はなこや彼女達の二つ歳上の眉目秀麗な男で、彼が中学、高校三年生の時の一年生がはなこと彼女達というわけだ。

「ッだから!美緒が好きだから恋愛感情無いなら離れろって言ったじゃん!馬鹿なの!?」

美緒。そう呼ばれた女は唇をギュッと閉じて涙目。完全にお前のせいだと言いたげなその顔に、はなこはニコリと微笑む。その笑顔はこの場に合わない、純粋で子供のような無邪気な笑顔。

『っじゃあじゃあ、告白しにいこう?』

「………は?」

グループの全員が呆気にとられ、ポカンと口と目を開けたままにしている。はなこは美緒に視線を合わせ、そのまま続けた。

『好きなら告白しなきゃダメだよ。臨也先輩中学の時からモテモテなのはみんなも美緒ちゃん?…も知ってるでしょ?だから告白するなら早い者勝ちだよ。それに臨也先輩彼女いないし』

うんうん、それが良い!と早速スマホを薄手のコートのポケットから取り出して、”臨也先輩”と書かれた連絡先を開いて美緒に見せる。

「い……いいの?」

折原に恋愛感情を持っている美緒を含め、折原の連絡先を知る者はこのグループに一人もいなかった。____________だからこそ、それを盲信し、頼るのは必然の事だろう。

「な、なにあんた良い奴じゃん」

『うん、いいよっ』


その無邪気な笑みになにが隠されているかも知らず、スマホを受け取った。



♂♀



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