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「#エロ」のBL小説を読む
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1.9
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ーードンッ。

「いってて……」

一瞬で王馬を床に押し倒したはなこは膝立ちで王馬に跨り、パーカーの内ポケットからひそかに取り出した折りたたみナイフを右手で王馬の細い首に向けた。

「やっぱりただの部下じゃなかったね…。
オレの目は間違ってなかったよ……」

『……』

"ただの部下じゃない"ことをどうやって知ったのかも気になるが、それよりもここに何をしにきたのかを聞く必要がある。

王馬は床に強打した背中の痛みと首に向けられた鋭利な刃物に今にも泣きだしそうな顔をしている。

『本当は何しにきたの?』

冷たい目と冷たい声で王馬を見下ろすはなこ。その表情も態度も、今朝王馬に見せていた笑顔からは誰も想像できないだろう。

「オレを…ここで殺すつもりなの…?
…そんなのなんの意味もないって、はなこちゃんならわかってるよね…。
……あれ、それどうしたの?…中のシャツに血が滲んでるよ?誰に…」

『関係ない。いいから答えて』

「…オレが言うのもなんだけどさ、逆にはなこちゃんはなんでそんなにイライラしてるの?
確かにオレたちが置かれてる状況は意味不明だけど、ここはオレ達のための学園なんでしょ?ちゃんと校則もあって、それを破らない限りオレ達に危険は訪れないし、嘘か本当かは別としても、ここを出る条件だってあるじゃん」

さっきまでの弱そうな王馬はどこへ。
王馬は自分にまたがるはなこを見上げ、突然真顔でペラペラと喋りだした。

『あんな条件を信じるの?…私たちは強制的にここに連れてこられた。挙げ句、来るまでの記憶が全員無いなんてどう考えてもおかしいでしょ』

「ふーん、はなこちゃんは信じてないんだ?モノクマの条件。なんで?」

『…この際ふざけてるっていう当たり前の理由は置いておくとして…、その条件だと1人余って17人全員は出られないでしょ』

「あー、確かに奇数だもんね!」

よく、跨がられたままそのテンションで話せるものだとはなこは思う。

「じゃあさ、オレと実験してみない?」

『…実験?』

「そ。実験。オレと恋して付き合って、それでホントにここから出られるのか検証してみようよ」

王馬は妖艶な目ではなこを見上げた。

「だってはなこちゃんは一刻も早くここから出たいもんね?」

_______それは何もかも見透かしたような目。



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