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1.7
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「よしださん」

時刻はおそらく午前11時頃。
モノクマを呼び出した場所から寄宿舎へと帰るはなこの元に東条がやってきた。

「朝食もとらずに今までどこでなにをしていたの?」

心配と警戒と疑いの眼差しで見つめてくる超高校級のメイド 東条斬美。はなこは右耳に髪をかけなおしながら、見つめ返した。

『出口を探してたの』

「出口を…?…それは見つかったの?」

『ううん。モノクマを呼んで問いただしたんだけど、はぐらかされた上に逃げられたから、ただの時間のロスだった。私は超高校級の部下だから一刻も早くつかえてた上司のところに戻りたいんだけど…』

「そう…だったのね。なにも知らずに少し強く言ってしまったわ。ごめんなさい。でもあなたの気持ち、とてもわかるわ。私も超高校級のメイドとして沢山の方々につかえていたもの」

東条が申し訳なさそうな顔ではなこに頭を下げた……その時、はなこの胸元までチャックを閉めたグレーのパーカーの下に着ている白いカッターシャツに赤い染みがついていることに東条は気づいた。

「その染み…もしかして血かしら?ちょっと見せて。………右腕の内側から出血しているわね。どこで怪我をしたの?それともモノクマかエグイサルに…」

『出口を探して歩いてたら、ちょっと色々あった。でもお願い、誰にも言わないで』

「!…」

真剣な眼差しで真っ直ぐ見つめてくるはなこに東条は懐かしい感覚を覚えた。

____________これは"依頼"だ。

「わかったわ。ではこの話は依頼として受け取るわね」

そう言って微笑んだ後、東条はもう一度心配そうな顔ではなこをみつめた。

「でも、手当はした方がいいわ。それにもうすぐ昼食の時間よ。このまま寄宿舎で休むなら、誰にも見つからないようにあなたの部屋に昼食を運ぶから、その時に手当もさせてもらえないかしら?」

この時はなこは東条に親近感が湧いていた。
彼女の才能は、、いや、彼女の"やり方"は自分とそっくりだった。相手は違えど、使える主人のためならば喜んでどんなことでもやるし、全力で尽くす。

自分と全く同じだった。
であれば仕事として対応してくれる彼女に遠慮は失礼だ。

『じゃあ、お昼ご飯だけお願いしてもいい?辛いもの以外で、テイストと時間は東条さんにお任せします。
でも、傷の手当ては自分でやるよ。さっき購買で色々買ってきた』

そう言ってはなこはパーカーのポケットから包帯をちらりと出して見せた。

「わかったわ。それじゃ、あとで部屋まで食事を持っていくわね。貴女が私を頼ってくれる事、とても嬉しく思うわ」

『私も自分と似た考えの人がいて嬉しいな。落ち着いたら、二人でお互いの仕事の話でもしながらお茶しない?』

「ええ、もちろんよ。今から楽しみだわ」

東条と少し先の明るい未来の話をして、寄宿舎に戻った。

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