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汽車で見たノーモーションの錬金術
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ーー ガタンゴトン、ガタンゴトン……
「わあーーー!!お父さん!速いね、すごいね!」
「ははは。あんまりはしゃぐと疲れてしまうぞ。むこうに着いたら、父さんとたくさん遊ぶ約束だったろう?」
ある汽車の中、旅行へと向かう
アメストリス軍のハクロ将軍とその家族。
「わーいっ!」
「でも仕事の方は、本当にいいんですか?」
「なに、やっと取れた休みだ。仕事は忘れて家族サービスしたって、バチは当たらんだろ」
楽しそうにはしゃぐ娘に笑いかけながら
妻は軍の将軍である夫に話しかけた。
ーーすると、扉の向こうからなにやら
騒がしい声と走る音が聞こえたかと思うと
見知らぬ男達が現れた。
「ハクロ将軍だな?」
「なんだ君達は、いきなり無礼な…!!」
突然現れた謎の男達が
ハクロ将軍に銃口を向けると、
右目に眼帯をした、大柄な男が現れた。
「せっかくの一家団欒をぶち壊しちまってすまんね、将軍。楽しい家族旅行は終わりだ。ここからは、スリルと絶望の家族旅行といこうじゃないか」
・
・
ーー その数分前、同汽車の一車両。
「ま……ままぁ…!列車ドンしたあ…!うわぁああん!」
「っぶねえな!気をつけろ!」
その汽車に乗っていたエルリック兄弟は
前の方の廊下で大の大人が小さな子供に
怒鳴っているのを見た。
すみませんうちの子がと謝る綺麗な母親に
その男が金をたかろうとし始めた時、
エルリック兄弟は同じ想いを胸に
立ち上がった ーー が。
『大丈夫?落としちゃった?』
「うっう…ぅう…ごめんなさ…」
「ぁあ?なんだお前」
大人の男とぶつかった拍子に
子供が落としてしまった汽車のおもちゃを
小柄で綺麗な顔立ちの、少女にも見える
女性が拾って子供に見せる。
落として砕けてしまったおもちゃを見て
子供は大粒の涙を落とした。
それを直してあげようと
エルリック兄弟の弟、アルの方が
一歩踏み出した時だった。
エドがアルの手を掴んで止めた。
「兄さん?」
ーー 直後、汽車のおもちゃが激しく光り
一瞬にして汽車のおもちゃが元どおりになった。
「なっ…錬金術!?しかも錬成陣なしで…いや、なんのモーションもなしって、まさかあの教祖と同じなんじゃ!?」
「……」
ありがとうと言って喜ぶ子供とその母親。
バツが悪くなった男はその場を逃げるように
早足で立ち去っていった。
少女なのか、大人の女性なのか ーー
わからない顔立ちの女性が笑顔で
エルリック兄弟の座るボックス席の
隣を過ぎようとした時、エドは立ち上がり
その人の足を止めた。
「あんた、錬金術師か?」
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