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記憶を奪われた少女と爆豪と切島/番外編
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『爆豪くん…土日のどっちか空いてる?』

はなこが記憶を奪われた翌々日の昼休み。
大食堂で昼食をとっていた爆豪と切島の所に、灰色のショートヘア、整った前髪、薄紫色の瞳、小さい顔、白い肌をした容姿端麗な少女が現れた________…。

少女の名は結はなこ。
今、学年一可愛いと全校生の間で噂されている数週間前に転校してきたまさしく噂の転校生!本人は無自覚で注目を集めながら二人の元へとやってきた。

「オッスはなこちゃん!ここ座れよ」

「ハァ?」

はなこは 俺の前に座るなと圧をかけてきた爆豪をアッサリスルーしながらテーブルにトレーを置き、切島のとなりに腰かけた。
和食好きなのか!俺もだ!と手のひらを出した切島にはハイタッチで応答したため、爆豪の額に綺麗な怒りマークが浮かび上がった。

『実はね、ここから電車で30分くらい行った木椰街の遊園地でイベントがあるんだけど…一緒に行かない?』

「俺がてめぇなんぞと二人で休日過ごすワケねぇだろ。考えろや」

『え………二人でなんて言ってないけど』

「ァア''!?」

はなこの言い方のせいで勘違いした(させられた)というのに何言ってるの?とでも言いたげな困った顔をしたはなこ(たまにドがつく天然)に爆豪は今にも胸倉を掴みそうな勢いでテーブルから身を乗り出した。






_________________なんで俺が、こんな奴と。

「お、来た来た。おせーぞ爆豪!」

「るッせー!!」

土曜、午前10:35
雄英高校最寄り駅から電車で約30分、木椰町。
あれだけ強く言っていた爆豪がなぜ来たかというと_______________。

『今度の土日にその遊園地で仮想ヴィランを倒すタイムアタックがあるってオールマイト先生が教えてくれたの。それでね、切島くんと私と爆豪くんで行きたいなぁって思って。この前の決着、つけよう?』

______________…という誘われ方をしたからだ。
ヒーロー基礎学の授業で行った相手チームの旗を奪うチームマッチの中で、爆豪とはなこは1対1で戦った。爆豪の強さに自分の弱さが滲み出たはなこは感情のコントロールを失い、目の前の爆豪を本気で排除しようとした。
しかし二人の勝負はオールマイトがはなこを止めたことにより、強制的に中断されたのだった。

1番を獲るということは、クラスの誰よりも、学校ないの誰よりも強くなくてはならない。
体力測定も期末試験もこれから受けるはなこの数値的な実力は誰も知らない。
けれどはなこが相当な実力者だと、あの日実際に闘った爆豪は分かっていた。入学した頃に轟に感じたような、否、それ以上の"力"を持っていると感じていた。

だからこそ、決着がつけられるのならば、闘えるならば、目の前に立ちはだかるのならば、場所はどこだって構わない。

行く以外の選択肢はなかった。

「空いてると思ったらここに集結してたのか!スゲー人だな!つか今更だけどなんで俺まで誘ってくれたんだ?」

『爆豪くんと仲いいと思って』

「だってよ爆豪!俺ら…」

「オイコラ四次元女、今日は全力でこいよ」

子供を泣かせられるレベルのツリ目ではなこを見下ろす爆豪は、側から見ればただのヤンキーかなにかだ。まぁまぁと笑って切島が間に入るが、強い相手に対しては意外と好戦的かつ煽り気質があるはなこが『顔にミサイル撃っていい?』と全く悪気のない顔で言ってしまったため、全く功を奏さず。

「顔でも頭でも何でも好きなもん撃ってこいや!全部まとめてブッ飛ばしたらァ!」

「……仮想ヴィランをだよな?相手はなこちゃんじゃないからな?」


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受付にて↓

「はーい次の人どうぞー。エントリーシートはこちらに。コースがイージー、ハード、ベリーハードとありますがどうなさいますか?女性がいらっしゃるようですので…どなたかがペアになって頂いてもかまいませんよ」

「ちなみにイージーはボール当て、ハードは対仮想ヴィランのタイムアタック、ベリーハードはタイムアタックですが、15人マッチです。仮想ヴィランをより多く倒した人が午後の決勝に進出となります!」

爆豪「ベリーハード」

切島「俺もベリーハードで」

はなこ『私も』

「えっ……と、わ、わかりました。女性の方はどちらとペア組まれますか?ちなみに大人も参加しますが…。」

爆豪「組まねぇ」

はなこ『私たち学校同じなので…トーナメントは全員別々で組んでもらえますか?』

それでいいと言わんばかりに黙って受付の了承を待つ爆豪。お願いしますと後押しする切島。

「わ……かりました」



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