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テーピング5
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「ねぇ知ってる?杉丸。はなこチャンって元は一般的な私学の出身らしいぜ。中等部からウチに来たのは知ってたけどさ」
「あー、らしーな」
学園内のカフェテリアにて紅茶を注文した成宮一茶と、無理を言って鳥ササミサラダ特盛を頼んだ栄美杉丸。
彼ら二人がいるだけでカフェテリアに訪れた女子は夢のような時間を過ごせるという。
珍しくはなこを連れていない栄美杉丸に、彼のファンは沸き立っていた。
「らしーなって、はなこのことなのに珍しく人事じゃん。喧嘩でもした?」
「喧嘩なんかしねーっての。
…アイツ、うちの中等部に来るまでの自分の過去を殆ど覚えてねぇんだ。記憶力が悪いとかじゃなくて、マジでほとんど思い出せねーんだと」
「えーそうなの?
確か"元々"の家がかなり厳しかったんだっけ?もしかしてそれが原因みたいな?はなこの旧姓の露草といえば武道の名家だっけね」
テーブルに並べられた紅茶とケーキのセット。
特盛ササミサラダに白米、味噌汁、漬物。
ディスイズ、ミスマッチランチ!
カフェテリアだというのに彼らの為ならば一流ホテルのランチやティータイムに匹敵する食事が用意される。
「おう。家の決まりで3歳から武道とそれにまつわる礼儀作法に特化した英才教育を受けてた。
武道も事業も右肩下がりだった家は、着々と成績を出してくはなこに家の将来を任せるために更に厳しく育てたんだと。
…結果、ストレスで全く結果が出なくなったはなこを見兼ねたよしだ家…つまり花沢さんの従兄弟にあたる家が引き取ったらしい」
「ふうん。やっぱよく知ってんな杉丸。にしても今も変わらず武道続けてるなんてえらいし強いじゃん」
「アイツの持ってる強さは他に無いからな。勝つとか負けるとかって次元の強さじゃねえ」
そう言って白い歯を見せて笑った杉丸は、
ササミサラダを頬張る。
彼がはなこを気に入っている理由は
誰よりも複雑で、真っ直ぐだった。
「ふーん。筋トレ命・女に興味無しの杉丸が気にいるわけだ。杉丸めちゃくちゃ信頼されてるしね。兄妹みたいだわ」
________…コトンと茶碗をテーブルに置く栄美は、「いや」と呟く。
「完全には信用はされてねぇ」
「?そうなの?」
「他の奴よりはしてるかもしんねーけど多分アイツ、完璧には誰も信用してねぇ」
「なんで?」
「…さぁーな」
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