「「「演練？」」」

「はい。そろそろ出てみようかと」

いつもの如く、食後の本丸会議。
今日の夕飯は大倶利伽羅と堀川によるTHE和食だった。中華もいいけど和食がやっぱり好きかな。
日本人…日本刀？の魂が欲してる気がする。

料理中は馴れ合う大倶利伽羅と料理に興味を持った堀川はそこそこ打ち解けたようで、よく時間があいた時はレシピ本を広げあってる。

自称　食べる専門で包丁の扱いが拙い山姥切が教育係なのに厨から放り出されてる後ろ姿は哀愁漂っていてちょっと可愛そうだった。


閑話休題



演練。そんなものもあったね？

正直すっかり忘れてた。
いや講習と戦績を優先してたから後回しになっていたとも言う。

「本丸稼働から毎月最低一度は出るように義務付けられております。
もちろん運営状況によっては延期の申請も出来ますが、運営に不安アリの烙印が押されてしまいます。
そこからの挽回は可能ですが、今の本丸の状況では問題ないかと思いますので、出てみてはと提案しました！」

いわゆるブラック対策ってところだな。
この世界にもあるんだろうか…二次創作的なブラック。

「ほかの審神者も来るんだよね…主は、人混み大丈夫なの？」

「あっ大丈夫です！これでも都会育ちなので」

まあ人見知りがただの通りすがりに発動してたら過ごしにくいもんな。

けどほかの審神者、つまり先達に挨拶はせにゃならんし交流することで有益な情報を貰うのも審神者の、主の仕事だと思うんだが……

そこまではまだハードル高そうか？
今回はただ戦うだけで済むならそれでいいか。

「あの、鶴丸さんはどう思いますか？」

気付いたら他のみんなは肯定的な中、私だけ妙に考え込んでる状況になってた。

「いいと思うぜ」

「では参加メンバーを決めましょう！事前登録が必要でして、それはわたくしがやっておきますので」

対戦の組み合わせはランダムか、近い任期か、その半々かで選べるらしい。
つまり大ベテランと当たる可能性もあるのか。

あとお互いに希望するなら組めたりもする。
友人同士で切磋琢磨ってことだな。

「山姥切さんは確定じゃない？」

「ああ、主も初めての演練なんだ。不安だろうからしっかり支えてやれよ旦那」

「頑張ってね！兄弟」

新人たちにも初期刀が主の特別であることが浸透している。

山姥切を永久近侍に提案したのは随分前だ。

当初、加州や短刀の乱なんかはズルイという声も上げたが、そこは私たちが頑張っておさえた。

これは山姥切に責任と自信をつけさせるためだが、
本丸全体の声はある程度集まる場所を作っておいた方が後々主の負担も少ないからでもある。

「山姥切くん、お願いしていいですか？」

「そのつもりだ」

お？
何を期待しているのやら、とか俺でいいのか？とか言うと思ったら、思った以上に自信がついてるようでなにより。

なんだか成長を見守る気分にさせられる。

ハッこれが噂の圧倒的末っ子属性…！？


折れる心配も資源の消費なく練度上げができるということで、新人の中でも練度の低い組が入ることになった。

部隊長　薬研藤四郎
隊員　　堀川国広
　　　　山姥切国広
　　　　乱藤四郎
　　　　大和守安定
　　　　

青江も出たがっていたけど、好戦的な性格なのかよく誉を掻っさらうせいでなかなか強いので今回は見送り。

そう指摘したら意味深な笑みを向けられてちょっと怖かった。
あの子は笑顔でキレるタイプとみた。


あと一振りに加州と愛染のどちらをいれるか、となった時に主が口を開いた。

「鶴丸さん、入って貰えませんか？」

「俺か？…あー、嫌というわけじゃないんだが」

たしかに太刀が入ればバランスはいいが、
忘れちゃいけない。
私はこれでもレア太刀である。

どうもレア太刀を就任一年以内で出す審神者は少ないらしいのだ。
ゲームと違ってガンガン鍛刀や出陣を出来るわけじゃないから仕方ない。
比べると随分とスローペースに感じることだろう。
実際、小狐丸実装は審神者が刀剣男士をおろし始めて2年後だ。
今は戦争何年目だったかな……。
とにかく5年やそこらではない。


どこの世界にも厄介な人種はいる。

実は万屋を一人で歩いてるだけでも難民らしき審神者がよく釣れる。

ほとんどは護衛の刀剣男士がどうにかするけど、例外もある。

あからさまに引き抜きや勧誘にかかる審神者もいれば遠回しにいろいろ探ってくるめんどくさい輩までさまざま。

鶴丸国永という刀が人当たり良く話しかけやすいというのもあるけども。

それが主の任期や仲間の練度がわかりやすい演練となると……どうなるかなんて想像に難くない。

けど心配かけないようにとそういったことを報告はしていなかったんだ。
図書館に通う仲の骨喰は知ってるんだけどな。

助けて！フォローして！と目で訴えて見る。

グッと親指を立てられた。

おお！！通じた！
さすが我が本丸の軍師！カッコいいぞ参謀！

「鶴丸」

おう！

「心置きなく行ってこい」

「」



そーーーーじゃねぇええええよおおおお！？





部隊長　薬研藤四郎
隊員　　堀川国広
　　　　山姥切国広
　　　　乱藤四郎
　　　　大和守安定
　　　　鶴丸国永

護衛　愛染国俊
　　　　　
演練メンバー決定