うわーアバッキオが一人でいるヤバイヤバイすげえ格好良い!そうだ今なら言える行こうさあ行こう告白だいやそれより抱き着いてしまおうかいやいややっぱり逆だなまず告白だそして抱き着くいや待て振られたら抱き着けねえじゃねえかならば抱き着きつつ告白が無難ではないのかよそれださあ行こうさあ行こうさあ行くぞ!!!!!
「おい何してるんだ?」
「ぎゃあブチャラティ!!!!!」
そしてブチャラティに「ムーディ・ブルース使用中だ、邪魔するなよ」と微笑まれるという体験を何度か重ねた後、私は一人で不用意にアバッキオに近付かないことにした。一度などアバッキオでなくてムーディ・ブルースだった。どういうことだ。どこにリモコン置いたか忘れたとか?スタンドにドキドキさせられているのはちょっと流石に悔しいんですけど。ていうかリモコンの他になんでそんなに日常的にリプレイすることがある?分かったあれだ、誰が誰のおやつ勝手に食べたかとかだろ。
そんなことにスタンド使っちゃうアバッキオもアバッキオだが、きっとブチャラティが困ったように頼んだりして、断れなくなったりするのだろう。なんだかんだ世話焼きというかなんというか、そんなところも素敵よね。

「と、言うわけでナランチャ、ちょっと確かめてきてよあのアバッキオがスタンド使用中或いはムーディ・ブルースではないかどうか。」
「えー、面倒だからやだ。」
「そう言わずに!」
「自分で行けばいいじゃん。」
「自分で行けないから頼んでるんでしょーが!」
「何でだよ。」
「説明したじゃねえか長々と!!」
「聞いてなかった!」
「嘘だろ承太郎!」
「俺ナランチャだぜ?」
「知っている!」
「お前めんどくせーなあ。」

ナランチャが一端に溜息なんぞつきながらジト目で私を見る。フーゴに似てきた?と思ったが、よく考えればフーゴはそんな顔する前にキレている。ということはジョルノか、ジョルノ・ジョバーナに似てきたというのか。みんなの天使ナランチャの危機である。一人涙を堪えていてもナランチャはそれに気付くことなく続ける。

「いつも普通に話せてんじゃん。なんで二人っきりになるの駄目なの?ていうか駄目なのになんでわざわざアバッキオが一人になってるところに行きたがるの?」

それは!それはね!!

「それが女心というものですよ、ナランチャ。」

ぎゃ!天使を悪へと引き擦り込むジョルノ様がいらっしゃった!ほえ?って顔してるナランチャから、ジョルノをぐいいいいんと引き離す。

「ジョジョ、ジョ、ジョルノ!!!」
「ジョジョと呼ばれるのは新鮮です。」
「呼んでねーし、どもっただけだし!そしてそんなことどうでもいい、何をおっしゃるか!あなたは!」
「僕は事実を述べたまでですが。」
「誰が頼んだ!」
「貴女が話しにくそうだったので。」
「でもそんなアバッキオのこと好きとか、そんな、こと、広めないでよ!!」
「僕は何もそこまで言ってませんが。」
「え、やだ、うそッ」

そこでひょいとジョルノと私の間にナランチャの顔が出た。

「アバッキオのこと好きなのかよ!」
「ナナ、ナ、ナランチャ!」
「マジ?マジ?」
「マジですよ。」
「おい何いい笑顔で肯定してんのジョルノ、ちょ、マジじゃないから!」
「えっ、じゃあアバッキオのこと嫌いなの?」

今度は些かしょぼんとしてナランチャが訊く。う、と詰まる。

「いや、嫌い、とかじゃなくて、そういうんじゃなくて、ただ、アバッキオは、私、ええと、だからアバッキオはアバッキオで……」
「俺がどうした。」
「ギャアアアアアア」

不意に現れたのはアバッキオご本人で私は奇声を上げる。

「ああ、アバッキオ。今貴方のことを好きとかなんとか……」
「ジョルノおおおおおおお黙ってくれえええええ」
「好きとかなんとか……」
「ナランチャもだああああああ」
「おい、喉大丈夫か。」

若干引き気味でアバッキオが私に声を掛ける。色々な意味で辛いが、アバッキオに手を伸ばされてテンパる。

「わわ、わ、私アバッキオのことなんて好きじゃないんだからね!!!」
「え、ああ、そうか。」

ミスった!完全にミスった!もうなんでよミスタのばか!関係ないけど!

「違う、そうじゃなくて、ええと」

もう何だか泣きそうになってしどろもどろになっていると、ジョルノがふう、と息を1つ。

「アバッキオ、ちょっとこちらへ。」
「あ?なんだよ。」

そして彼を連れてどこかへ行った。
残された私はがっくり。何も嫌い宣言しなくとも。

「お前、面倒だなあ。」

暢気に言うナランチャを黙って叩いたら模型のヘリに追い掛けられて、ブチャラティに助けを求めることになった。
ああ、恋愛って難しい。





後日

「おい。」
「え、あ、アバッキオ……」
「これ。」
「ん?何、これ。ティーカップ?」
「べ、別にお前のために買ってきたわけじゃないんだからな!お前と茶ァ飲みたいなんて思ってないんだからなッ。」
「!!!」

「ジョルノー、アバッキオに何教えたんだよお。」
「ああ、ナランチャ。ツンデレです。」
「つんでれ?」
「日本の文化ですよ。照れるあまり強がって思っていることと逆のことを言ってしまう属性のことです。」
「ふーん?」
「それで彼女の真意が分かったなら、貴方もツンデレで返してみてはとアドバイスしたんです。」
「へえ、でもそれってアバッキオがつんでれする意味あんの?」
「いや、特にないです。」


(終)


題名:うおさんより

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