※高校での日常


「花京院へのこの溢れる愛をどうすればいいか分からない。」
「本人に言ってくりゃいい。」
「嘘だろ承太郎。それが出来ると思うのか、この私に!」
「このDIO、みたいな言い方やめろ。まあ…十中八九無理だろうな。」
「その通り、それが出来ればやっているわ!全く無駄な会話だった、無駄無駄…」
「だからDIOやめろ。大体無駄と言うならお前が俺に花京院が好きだと言うのも無駄だろうが。」
「無駄じゃない!」
「なんでだよ。」
「…特に理由はないなあ。」
「言ってろ。」
「冷たい!」

と、言いつつも彼のことを本当に冷たい等とは微塵も思っていやしない。
こうして事あるごとに私が「無駄話」をしたとしても、面倒臭がる振りをする程度で聞いていてくれる。

「そろそろ戻ってくるんじゃあねえか。」
「おっともうこんな時間か!また昼休みを花京院の為に費やしてしまった。本望だけどね!」
「おめーは本当に喧しいし鬱陶しいな。」
「なんだと!」

「今日も楽しそうだね。」

「!!!」

後ろから声を掛けられて吃驚!
振り向かずとも分かる。
柔らかい声、穏やかな物言い、これはまさしく、

「よう、花京院。絵は仕上がりそうか。」

おのれ承太郎、私より先に花京院の名前を呼んだな!
歯噛みしていると、花京院が私たちの横に立って、ようやく顔を見ることができた。
片側だけ長い前髪と、赤いピアスが揺れている。緑の学ランがここまで似合う人を私は今までもこれからも彼以外見つけられるわけがないと分かっています。

「ああ。もう少しでまた君たちとお昼を食べられそうだ。」

少し大きめの口で彼がにこりと微笑めば、教室中に花が咲いたようだ。黄金とも呼べる瞬間を体験する。幸せだ。

「そりゃ良かった。おい、だってよ。」
「へ、私?」

承太郎に小突かれてハッと気がつく。いかん、花京院に見とれていた。

「他に誰がいる。お前も嬉しいだろ。」
「………え、嬉しい?えと…」

口篭ると、花京院が小首を傾げる。私に向かって。
もう私の視界は彼ですっかり埋まってしまっていて、今更花京院から送られる表情や動きに映像処理は追いつかなくて、何度も瞬きして、1度だけこくんと頷いた。

「ありがとう、僕も嬉しいよ。」

花京院がそう言って、なんだか恥ずかしいね、と言いながら笑う。私はやっぱりもうどうしたらいいか分からなくなって、一生懸命、お弁当の袋を握る。
やれやれだぜ、と言う承太郎の足を踏ん付けたら、いてえ、と言われた。
僕も混ぜてよ、と言う花京院。好きな人の足を踏むなんてとんでもない!と言いたかったのだが、間髪入れずに承太郎が花京院の足を踏ん付けて、そこから2人は壮絶な喧嘩(2人にとってはじゃれ合っているつもりらしいが)を始めてしまったので、また私は花京院に何も言えず終い。




『始めましょう』



「ねえ、承太郎。」
「なんだよ。」
「僕さ、どうも距離を感じるんだよね…」
「あいつか。」
「うん。…やっぱりゲームが得意なんて言ったのが悪かったのかなあ」
「違うと思うが。」
「え、じゃあなんでだろう。」
「さあな。…今度の休みにどっか行くか。」
「エジプト?」
「洒落にならん洒落はやめろ。」
「ごめんごめん。えっと、君と僕とで、何処に?」
「違う。俺と、お前と、あいつとでだ。」
「僕はいいんだけど…」
「あいつも喜ぶと思う。」
「え、ほんと?」
「ああ。」
「それなら行こう!ああ、早く友だちになりたいなあ。」
「…やれやれだぜ」




『お友達から始めましょう』




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