「どした?」


銀時は首だけ捩って、背中にひっついているあたしを見る。


「…、」


あたしは、銀時を更に力いっぱい抱きしめながら、彼の背中に額をぐりぐり押し付けた。



なんだか、銀時がものすごく恋しくて恋しくて。



「オイオイ、今日はデレの日かー?」


銀時が冗談っぽく笑う。


「…ばか、」


…でも、確かにそうかもしれない。


だって、今日は銀時に癒されたかったんだもん。



「まーよ、ツンでもデレでも、俺ァどっちのさくらチャンも大好きよ?」


フッと微笑って、銀時は、腹の前で組まれているあたしの手に自分の手を重ねて、優しく包んでくれた。


あたしをいつも助けてくれる、少しごつごつした大きな手。


頼りになる、広くて逞しい背中。



あぁ、あたし本当に銀時が大好きだ。



少しの間、そのままの銀時の背中に顔をおしあてていると、彼がもぞ、と動いて肩越しにこちらを見た。


「…な、さくら、」


「え?」


「…俺、ケーキより先にさくらを食べたいかも。」


「えぇっ?」



ちょっと待って、という間もなく、銀時はくるりとこちらに向き直ると、軽々とあたしを抱き上げた。


「ちょっ!待っ、重いって!」


まさかのお姫様抱っこ。


重くて申し訳ない気持ちと、誰に見られてるわけでもないのに恥ずかしくて、あたしは手足をばたつかせる。


「重くねーから。じっとしてねーと落ちるぜ。」


あたしの心配など笑って流し、歩き出す銀時。


「ホラ、つかまれって。」


「…うん。」


あたしは素直に銀時の首に腕を回して掴まった。


お姫様抱っこなんて、してくれるの銀時だけ。


ていうか、銀時は何でもしてくれる。


一緒にいると、いつも大切にされてるって感じる。


銀時みたいな人に想ってもらえるなんて、あたしは本当に幸せ者だってつくづく思うよ。



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