2
銀時はあたしを居間に通してくれた。
「そういやお前、仕事終わってから何も食ってねーんじゃね?下のババァんとこでも行くか?」
「ううん、平気。それよりさ、一緒に食べようと思ってケーキ買って来たの。食べない?」
あたしは、手に持っていた袋をテーブルの上に置いた。
「お、いいねェ。さすが、さくらちゃん。」
不良座りで、さっそくケーキの箱をゴソゴソ始める銀時。
あたしも食器棚からお皿を取って来て、その隣にしゃがんだ。
「銀時、どれ食べたい?」
「そーだなー、」
あたしが買って来たのは、苺のショートケーキと、チョコレートケーキと、洋梨タルトとカラメルプリン。
神楽ちゃんや新八くんもいる事だし、同じ種類を2個ずつとかにすればよかったんだけど、つい目が欲しがって全部違う種類を選んじゃった。
「銀さんコレに決めましたー。」
銀時は苺のショートケーキを選んだ。
「じゃあ、あたしはこれかな。」
あたしは洋梨タルト。
それぞれのケーキを持って来たお皿に取り分けていると、銀時が、あ、と声を上げた。
「ちょっとタンマ。」
「え?」
「茶ァ入れてくるわ。さくらはここで待ってろな。」
あたしの髪をくしゃっと掻き交ぜて、見上げるあたしにふわりと微笑み、立ち上がる。
銀時のその笑顔を見て、胸がきゅんとした。
目尻に優しげな皺が刻まれた銀時の笑顔、大好きだ。
「銀時、」
あたしはほぼ反射的に立ち上がり、台所へ向かう銀時を追った。
すぐに追い付いて、彼の着流しの裾を掴む。
「ん?」
銀時が立ち止まる。
あたしはそのまま彼の腰に腕を回して、後から彼をぎゅうっと抱きしめた。
.
[*前] | [次#]
▼戻る▼TOP