銀時はあたしを居間に通してくれた。


「そういやお前、仕事終わってから何も食ってねーんじゃね?下のババァんとこでも行くか?」

「ううん、平気。それよりさ、一緒に食べようと思ってケーキ買って来たの。食べない?」


あたしは、手に持っていた袋をテーブルの上に置いた。


「お、いいねェ。さすが、さくらちゃん。」


不良座りで、さっそくケーキの箱をゴソゴソ始める銀時。


あたしも食器棚からお皿を取って来て、その隣にしゃがんだ。


「銀時、どれ食べたい?」

「そーだなー、」

あたしが買って来たのは、苺のショートケーキと、チョコレートケーキと、洋梨タルトとカラメルプリン。


神楽ちゃんや新八くんもいる事だし、同じ種類を2個ずつとかにすればよかったんだけど、つい目が欲しがって全部違う種類を選んじゃった。



「銀さんコレに決めましたー。」


銀時は苺のショートケーキを選んだ。


「じゃあ、あたしはこれかな。」


あたしは洋梨タルト。


それぞれのケーキを持って来たお皿に取り分けていると、銀時が、あ、と声を上げた。


「ちょっとタンマ。」

「え?」

「茶ァ入れてくるわ。さくらはここで待ってろな。」


あたしの髪をくしゃっと掻き交ぜて、見上げるあたしにふわりと微笑み、立ち上がる。


銀時のその笑顔を見て、胸がきゅんとした。



目尻に優しげな皺が刻まれた銀時の笑顔、大好きだ。



「銀時、」


あたしはほぼ反射的に立ち上がり、台所へ向かう銀時を追った。


すぐに追い付いて、彼の着流しの裾を掴む。


「ん?」


銀時が立ち止まる。


あたしはそのまま彼の腰に腕を回して、後から彼をぎゅうっと抱きしめた。



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