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あー、総悟です。
今日は俺が巡回当番の日なんでさァ。
ただ、今日パトロールで回る地区は…この人とだけは来たくなかった。
何でよりにもよってコイツなんだ。
助手席でタバコを蒸す、ニコチンマヨラー土方クソヤローと一緒だなんて。
いかに自然に、このまま左側だけうまく電柱に突っ込むか、そこが問題でさァ。
通行人が邪魔で電柱に突っ込み損ねているうちに、俺が一番通りたくない道に入っちまった。
「…総悟、お前さっきからよそ見ばっかしやがって危ねーだろ。前見ろ、前。」
パトカーに乗り込んで12本目になるタバコを取り出しながら、ニコチン野郎が言う。
うるせー死ねよニコチン。
「…アレ?ライターのガス無ェな。総悟、火ィあるか?」
「火ですかィ?」
調度いい。
「土方さん、俺が火ィつけてあげまさァ、」
このバズーカでなァァァ!!!
…と、バズーカを取り出した瞬間。
「総悟くーん!」
「!!!」
その若い女の声に、俺は瞬時にバズーカを隠した。
ついでに車も停める。
それは、とある花屋の前。
その女は、人懐こい顔をして、パトカーに走り寄って来た。
俺は窓を開けて首を出す。
「でかい声で呼ばねェでくだせェ。」
…嬉しくなるから。
「…あ、ごめんなさい。あのね、総悟くん、この前はありがとう。あのお花、気にいってくれた?」
その女は、ニコッと微笑んで、小首を傾げて聴いて来た。
「あァ、もち「ブッ!!総悟が花だァ?」
…チッ。
俺がにこやかに答えようとしたら、クソ土方が下品に吹き出しやがった。
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