CLAP THANKS
お礼小説 // 翼



 思い切って飛び出してみた世界は、とても居心地が良くて。
 そこには、あったかい、ふわふわした気持ちが溢れてた。

「つ、翼くん…」
「ん? どうかしたのか?」

 ほんとは、わかってるよ、君の考えてること。

 君のことがだーいすきだから、何でもわかるよ、って言いたいけれど、耳まで真っ赤な君の気持ちなんて、心が読めなくてもわかる。

 だから、もっとぎゅーってしてみれば、ますます居心地が悪そうに動く君。

「ダーメ、ちゃんと、俺の傍にいて?」

 すぐ耳元で囁く。子供のような我が儘。
 でも、それも、君の傍にいたいから。君が、だいすきだから。

「君がいてくれるだけで、俺は、何だって出来る気がするんだ。だから、俺は、君を抱きしめて離せない」
「翼くん…」

 彼女が、俺の名前を呼ぶ。
 その柔らかな唇にそっと触れれば、今度は、真正面から、真っ赤な顔の君と向き合う。

「大人な翼くんは、カッコ良くて、ドキドキする…」
「じゃあ、もっとドキドキして?」

 そう言って、上向かせれば、潤ませた瞳が俺を見上げる。

 君が笑ってくれるなら、子供っぽくたっていい。
 君が恥ずかしそうな顔をして、それでもカッコ良いと言ってくれるなら、大人な俺でいたい。
 相反する気持ち。
 でも、それは、全部、君に向けた本当の気持ちだから。

「このまま、続き、しよ?」

 そう囁いた俺に、君が何て返事をするかは目に見えているけれど。

 もう少し、可愛い君を見ていたいから。
 ごめん、いじわる、させて?

大人と子供の境界線