そうやって俺を遠ざけて 後悔するのはそっちなのに | ナノ

だだ漏れ!!の企画提出作品。
超能力シズちゃん×被害者臨也さん。


*

一言で云えば、超能力を使えるようになった。新羅の仕業でもなく、勿論俺の意志でなった訳でもない。ならば選択肢は一つしかない。早速臨也の所に足を運んで訳を聞き出すと、臨也は一瞬目を見開いてから、ゆっくり口角を釣り上げた。

「へぇ…シズちゃん遂に怪力以外の力を手に入れたんだぁ。凄いや、もう完璧に化け物だね!おめでとう!」

ワザとらしく手を叩いて笑う臨也。それに対して俺は苛立ちを必死に抑えて、臨也から視線をズラして斜め後ろに意識を向ける。その瞬間に視界が歪み、身体が少し揺れる。次に気付いた時には、先程意識を向けた臨也の斜め後ろに自分が立っていた。突然、目の前から消えた俺に固まる臨也に後ろから声を掛けてやる。

「どうだ、臨也」

途端に臨也が後ろに振り返ると、一瞬だけ顔を歪ませると直ぐに何時もの余裕そうな笑顔を零した。

「うわぁ…瞬間移動能力ね。まぁ、テレパシーや予知能力よりはマシだけど…質悪いなぁ」

この反応だと、臨也の仕業ではなさそうだ。いや、もしかしたらワザとやってるのかも知れない。嘘の上手いコイツの事だ。俺を騙すなんて容易いだろう。取り敢えず意識を臨也の前に集中させて一気に移動すれば、目の前に臨也の顔。こんな近くで気に食わない奴の顔見るなんて吐き気がするが、それは仕方無い。両手を素早く片手でひとまとめにして逃げないように握り締めれば、臨也は痛みで顔を歪めながら笑みを零す。

「何?もしかして俺が犯人だと思ってるの?まぁ、シズちゃんの頭がその考えが妥当だろうね。わぁ、俺、超能力も持ってないのにシズちゃんの頭の中分かるなんて天才かも!」

「煩ぇ、早く元に戻せ」

空いた手で臨也の胸倉を掴み上げ、間近で睨み付けながら低い声音で命令しても相変わらずの笑顔。

「それは無理だよ。だって俺がやったんじゃないし。それに、もしもシズちゃんに超能力与えるなら瞬間移動能力じゃなくて念力とかにするよ」

スプーンとか普通に素手でも曲げられるのを念力で曲げるのはきっと見物だよ!と高々に笑い出す臨也に小さくため息を吐き出してから、乱暴に床に振り落とした。がたん、と鈍い音を立てて臨也が背中から落ちる。軽く咳き込む臨也を無視して踵を返す。コイツが犯人じゃなければもう用はない。さっさと帰ろうと玄関に向かう途中にか細い声が耳に滑り込んで来た。

「そうやって、君はどんどん異形になって俺に嫌われてく。何でだろうね」

思わず振り返れば、床に倒れ込んだまま臨也が目を瞑り自傷するように笑っていた。その口が咳を吐きながら言葉を紡ぐ。

「後悔するのはどっちなんだろうね」

意味が分からなかったが、何故か俺は臨也から目が離せなかった。







最後がシリアスになってしまいました。静→←臨っぽく見えたら嬉しいです。超能力は最後までテレパシーと悩みました。
100914

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