君と見る星、願う空
ここでは鮮やかな色紙は手に入らないから、皆で作ったちょっと歪な和紙に書かれた小さな願い。
笹の木の代わりに小枝を集めて纏めたものに飾れば、吊るされた短冊が風に揺れてサラサラと綺麗な音を立てる。
拙い字で、それでも心から楽しそうに願い事を書く子供達の笑顔が目に焼き付いていた。
熱く火照った身体を抱きしめて汗ばんだ首筋に顔を埋める。
息を整え揺れる撫子の肩を悪戯に舐めれば、ビクリと身体を震わせて甘く睨み返す君。
そんな顔されたら逆効果なのに。
「撫子、眠たい?」
「そんなに酷く眠たいわけじゃないけれど……、鷹斗は眠れない?」
「何かもったいなくて。寝ちゃったらもう誕生日終わっちゃうからさ。」
「ふふふ、なぁにそれ?子供みたいなこと言うのね。」
「だって今日の撫子凄く可愛かったから。」
「っ……!」
俺の言葉に途端に顔を赤らめてしまった彼女。
今日は俺の誕生日で、俺を祝ってくれた撫子はいつも以上に一生懸命になってくれて。
俺の為に頑張っている彼女は本当に可愛くて。
「そういう事言わないでよ……!」
こんな風に恥ずかしがって怒る彼女も可愛くて仕方ない。
「……ね、もう一度さっきのして欲しいな?」
「え、ちょっと、……鷹斗!」
「うん、……ね?」
「ね、って……んっ……だ、だめ!だってもう日付変わってるから!!」
腰を引き寄せようとする俺の前にぐい、と突きつけられた置時計。
時間を見れば、確かにもう12時を数分程越えていた。
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