始めの誓い
ラーメン屋さんの外で偶然?会った、
サクラちゃんとイノちゃんに洋服を選んでもらうことになった。
お洒落に敏感な年頃の女の子二人は、次々と私に服を宛がってはあーでもないこーでもないと楽しそうにはしゃいでいる。
「あの、カカシさんが待ってるから、なるべく早くしないと…。」
外で待っているカカシさんが気にかかり、私はやんわり二人を急かすように言うと、
少女達はケラケラと笑った。
「いーんですよ!いっつも遅刻しては何時間も人を待たせてるんですから。
少しは待つほうの気持ちも味わったらいいんです!」
(いつも何時間も遅刻って、…一体どういう状況??)
考え事をしている隙に再び洋服を選び出して散って行った二人。
私は苦笑を浮かべるしかなかった。
「これ、これすっごい雅美さんに似合いますよ!ね、サクラ!」
「うん!イノ、センスいーじゃない!」
「えー、私にはちょっと可愛すぎると思うけど…。」
私の言葉は聞こえていないのか、これ買いね、と言って次々とカゴに入れていく二人。
いつの間にかカゴは3つに増えていた。
このままでは大変なことになってしまうと焦り、急いでカカシさんを呼んだ。
お店のすぐ外で、カカシさんは本を読んでいた。
緑の表紙をパタンと閉じ、腰につけたポーチに仕舞いながらのんびりとこちらへ歩いてくる。
「もう決まったの?」
「はい。二人とも一生懸命選んでくれて嬉しいんですけど、キリがないので…。」
「遠慮しなくていーのに。いっぱい買ったらいいよ。
雅美ちゃんは色白だから何でも似合うだろうねー。」
ヒラヒラしたの着てほしいな、とかなんとか言いながら、
カカシさんはヒョイヒョイとカゴへ服を入れていく。
「カ、カカシさん!そんなにたくさん買っていただけませんから!」
ハンガーを掴む手を慌てて止めると、えー…、と不満そうな声をあげるカカシさん。
せっかくカカシさんを呼んだのに余計にカゴは増えてしまった。
大量の洋服。
少しだけ違和感を覚えた。
「じゃ、ここは会計しておくから、サクラ達とあっちで買い物しておいで。」
そう言ってすっとカカシさんが指差す先には、女性用の下着コーナー。
流石にあそこは俺入れないじゃない?と片方しか見えていない眼をにっこりと弓なりに細めるカカシさんを見て、恥ずかしさに顔が熱くなるのを感じる。
「はい、これお金。サクラに払ってもらって。」
「い、いってきます。」
赤い顔を隠しつつ、私はお金を受け取った。
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