ぷよさんからの誕プレ円【2013】
人通りの多い場所とはいえ、こんな時間に女性を呼び出すなんて非常識だ。
本来ならばこちらから迎えに行くべきで、彼女にわざわざ出向いてもらうのもおかしい話で。
けれど、どうしても今日中に会いたかった。
一年に一回のこの日、この瞬間だけは絶対に――…
「……ギリギリ…、間に合いましたね」
携帯で時間を確認して、安堵の息を吐く。
月明かりの下、長い艶髪を揺らして少しだけ不安そうにぼくを見上げて……そしてふわりと柔らかにあなたは目を細めた。
特別なことなんてしなくていい。
無理をするくらいなら当日でなくたっていい。
そうあなたは言うけれど、やっぱり傍に在りたいと思うから。
「お誕生日、おめでとうございます」
指先で頬を撫でて告げると、あなたは想像した通りの愛しい笑顔をぼくに向けて。
ありがとう、と返された声にお礼を言いたくなるのはぼくも同じ。
今年の今日も、来年の今日も。
きっと、ずっと。