オーマイ
ラブリーガール




「……来るなら来るっていってよ」
「ああ、すまない」

冷たい風がふるりと体を震わすような季節に移り変わり、地面には枯れ葉がよく目につくようになったある日の昼間、合鍵を使って彼女の暮らすマンションに入ったら、彼女はリビングでテレビを見ながらルームウェアのままで足の爪を切っているところだった。
つけっぱなしのテレビには定番の午後のワイドショーが映っている。


彼女は何の連絡も無しに来た俺を怪訝そうにちらりと見て、すぐに足の爪切りに戻った。
部屋の中は暖かくて、寒くてジャケットを着ていたわけだが今は体にほんのり熱がともって少し暑いくらい。
彼女のルームウェアはだからなのかパンツの丈が短く、彼女の白い脚が惜しむことなく剥き出しだ。

(彼女の脚は細すぎないのが良い)

しばらく確かめてない彼女の脚の、指に沿うように形を変えるあの柔らかい感触を思い出しながら、着ていたコートを椅子に掛けた。

「……そうだ、お前の好きなケーキ屋のプリンを買ってきたぞ」
「え、マジ?」

彼女は瞬間ぱっと、爪を切るのをやめて、たたた、と俺のところにやって来て、俺が持っていた袋を覗き込んだ。

「おおー……マジだー……」
「突然来たお詫びにな」
「ありがと蓮二」

だいすき〜、と俺の腰に巻き付く彼女のなんて愛しいこと。
顔を上げさせて彼女の額にキスをすると、彼女は小さく背伸びをして、俺の頬にキスをした。
柔らかい感触が頬にじんわりと伝わる。

「……へへ」
「……プリン、冷蔵庫に入れるな」
「うん〜」

なんとまあ大好物のプリンでいきなり家に訪問した件はチャラになったらしい。
彼女はわりと単純で切り替えが早い。
(そこも好きだが)

「今日はどうしたの?」
「いや?特に何も」
「ええー」
「強いて言うならお前に会いたかったから……駄目だったか?」

意地悪く笑ってみた俺をみて、だめじゃなかったでーす……、と顔を真っ赤に消え入るような声で言う彼女の、今度は唇にキスをした。愛しさを押し込めるように何度も。



2011/10/25/Tue

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