ぐさっときた。

言葉という名の容赦の無い刃がぐっさり深く刺さった気がした。心なしか血の気が失せた気がする。僕はそのままへなへな膝を着いて俯くしか出来なかった。


気持ち悪い。


恋とかそんな可愛らしいものじゃなくて依存だった。自分でも分からないうちに少しずつ、でも確実に依存度は上昇していたのだ。その結果が、これ。
そめおかくん、呟くけれど本人は既に居ない。付き合って居られないとばかりに足早に立ち去ってしまったのである。残された自分には何も残らない。

「なにが、悪かったんだろうね」
『俺に聞くなよ』
「…」
『…急にだまんなよ』

めんどくさい、ぽつりと零れた言葉はちょうどそばを通った円堂に聞こえたらしい。どうしたと心配する声が聞こえて申し訳ない気持ちになる。僕は彼を心配させてばかりだ。

「吹雪、調子悪いのか?保健室行くか?」
「ありがとキャプテン、大丈夫、大丈夫だから」
「良いから保健室に行け」
「鬼道!」

…ああもういやだ、自分が心底いやだ。迷惑ばかりかけて、役に立たなくて。薄く浮かべた苦笑いも面倒になってしまった。


***


結局保健室に来てしまった。半ば強制的に鬼道くんと後から来た豪炎寺くんに寝かされてしまった。寝るつもりなどなかったのだが、しばらく続いた短時間睡眠のせいか早くに瞼は閉じた。

暖かな陽ざしを感じて目を開けると西日が窓からさしてオレンジ色になっていた。既に授業は終わっているだろう。帰ろうと体を起こした時点で違和感に気づく。ベッドの脇に、ピンク色。

「そめおかく…」

ぽんと頭を撫でられる。がしがしと無遠慮なふうで、それでいて少し優しい。意味も分からなく涙が溢れて落ちて、真下で布団を握っていた手はびたびたになってしまった。本当に意味が分からない。理解できない。



ひとつも理解できないまま、夢なら覚めれば良いのにと思った。




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