さいしょでさいごのとりででした














僕らをわけるアイデンティティというものが暗黙のうちにありまして、皆まで言わずとも、互いにその線――僕と彼を別のものとしてあらしめている境界に触れずにこれまで生きてきました。
今の今まで、一度もその線に触れずに来れたのは、きっとそんなことを考える必要がなかったからなのです。

ああ、懐かしきあのぬるま湯のような日々!





「吹雪ー!置いてくぞー?」

「はーいキャプテン、今行くよー」


さよならぬるま湯。確かに僕はここを愛していました。

そしてこんにちは、新しい世界。


ちょっと風通しの良くなった首まわりを撫でて、その日僕は一歩踏み出したのです。







最後の國





(どこかで弟が笑ってくれている気がした)

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