拝啓


こんにちは、こんばんは。もしかしておはようかな。手紙の書き方なんかわからないから、拝啓も敬具も飾りみたいなものだけど、書きたいだけ書きます。
君達から離れて少し経ちました。病院はいい思い出とか無いし、消毒の香でむせそうだけれど、思ったより快適です。日の程よく当たる部屋なので、よくひなたぼっこがてら、窓の外の木にとまっている小鳥を眺めています。この前は青い鳥が居たんだ。緑川君がたまたま部屋に来てるときで、すっごくはしゃいでたなあ。幸せを呼ぶって言うけど、ほんとのところ、そういわれてる鳥に逢うことで、それまで気にならなかった幸せに気づくってこと何じゃないかと思うんだ。あ、なんだか言葉がおかしいや。
君はどんな感じですか?テレビで見てるだけじゃやっぱりわからないし、物足りないね。はやく治してみんなとサッカーしたい。そうしたら



「そうしたら」

それ以上書けそうになくてペンを投げた。投げたついでに半分自分の汚い字で埋めた便箋を握り潰した。内容は違えど、同じように握り潰した手紙が数週間の内にごみ箱二つ分になった。これもあれも全て彼には送ることができない。ただ本来の目的を果たせなかった無残な状態の紙が何も言わずごみ箱から外れて転がっている。
さようなら、手の折れた君への手紙。僕も君も、手が折れてしまっているので手紙など意味が無いんだ。











意味わからん






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