今日も僕はつっかけて歩く。











サンダル









ここしばらく自分は中途半端。
あれなら役に立てるとか、立てないとか、優柔不断もいいところだ。そんなんじゃサッカーでなくても足手まといになるのに、過去から抜けきれない自分は今日もずるずると足を引きずって生きるだけ。全くいい身分だ、たいがいにしてよね、なんてだれかさんが口にするぐらいには、おかしな状態。
「君だったらどうするんだろうね」

答えなんか求めちゃいない。ただ誰でもいいから背中を押してくれる人が必要なんだ。
今までは両親、そしてアツヤだった。次は染岡君。じゃあ次は?
皆離れていく。離れるくらいなら近づいてほしくないなんて、ただの我が儘だけれども、脳みその発達を妨げるだれかさんがぎゃあぎゃあ騒ぐ。我が儘なんかじゃない、本当のことでしょ、嗚呼みんな、みーんな居なくなっちゃう!






戻ってきたエースストライカーに視線が集まる。とうとう用無しかと思える状況で、思っていたより僕は冷静だった。誰かが自分の元からいなくなるよりはマシなことだと、ちょっとズレたことが脳裏に浮かんでいたからかもしれない。ちいさく愚かなだれかさんは憤慨していた。


「ねえ、僕はもういらないの?」
「…」

「ねえおかしいよ、要らなくなる訳無いじゃない!ぼくは、おれは!シュートを!決めたじゃないかっ!」

「…うん」

「何度も何度も何度も何度もシュートうって!点を入れたじゃないか!」

「士郎」

「うるさい五月蝿い煩い!おれは敦也だ!」




怒って叫んで泣きそうになって、最後は拗ねて僕との意識のリンクを切ってしまう。昔に縋って発達を止めた人ほど愚かしい生き物はいないのではないのだろうか。そう思うほどに小さな自分は滑稽だった。
僕はきっと言わなければならないのだ。


我が儘で無知な自分に、ありがとうとさよならを。





(僕がそんな愚かな意識を作り出したというのなら、未だに僕は、変わらず愚かなんだろう。)















そうしてまた今日もあらゆることを決めかねたまま、サンダルのように気軽に、もう一つの存在をつっかけたまま歩こうとするのだろう。












(どちらの痛みにも気付かない)
(彼は本当は、後押ししてくれているのに)




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