ワタシ的バトル法

「なまえちゃん…」


しゅんとした様子でこちらを伺い、私を見るのは恋人。
ここは自宅ではなくおにぎり宮で、恋人である宮侑である。


「今日、一緒におったん誰!?」
「同級生だよ、言ったじゃん。こっち来るって聞いたから会うよって。侑さんこそ、こないだのだあれ?」
「アナウンサーさんです」
「知ってます、楽しかった?合コン」
「それはツムどうなん?」
「すみませんでした」

まぁ、そこまで怒ってるわけじゃないけど顔を見れば腹が立つ。実はこのひと昨日すっぱ抜かれたのだ。
朝からそれをみた私の気持ちをぜひ考えてほしい。
しかも今日会っていたのは同級生と言っても結婚している同級生2人だよと伝えたはずなのだ。


「はぁあ、ショックだったなぁ。」
「なまえちゃんかわいそうやなぁ。今日、うち泊まってくか?」
「えー、治さんやさしい〜あやかろうかな」


治さんも悪ノリでニタニタしてるのがよくわかる。
相手が治さんだからなのか、今回は原因が原因だからなのか、はたまた両方か
侑さんはショックな顔ととても反省している顔、さらには怒ってる顔を器用にも全て同時にしている。


「そんなんいわれたって、俺かて知らんかったんや!合コンなんて!したら行かへんかったし、あの写真やって俺の顔クソ嫌そうな顔しとったやろ!?それに、俺と家帰ってくれへんといややねん、もう一人であの家すめへん…」
「誰やこいつ」
「あなたの双子の片割れですよ、治さん日本酒」
「およ、いい飲みっぷりやな、ほれ」

未だに地べたに正座して反省の色を色濃くだし、治さんを睨みつける。
治さんはそれをみて鼻で笑って奥に引っ込んだ。


「ほんまに、すまんておもってんねん、いやや、別れるとか言わんで。ほんまになまえちゃんしかおらんねん」
「別れるなんて私まだ言ってないですけど」
「まだも言わんで、わかれんで…」
「明日なんか会見なんでしょ、泣いたら角名さん達に笑われるよ」

実は朝から彼のケータイがひっきりなしになっているのは出かける前から知っていたし、行く先々で浮気ですか!?って質問を侑さんのファンから受けその答えにうるせぇよぼけ、指輪見てから言ってくれる?と答えてる。別れるつもりもさらさらない。なんで好きな人と離れなきゃいけないの。

「写真で指輪付けてるの見えたし、あんなに堂々と告白した人がそんじょそこらで浮気するなんて思ってないよ」
「なまえちゃん……」
「ただあのアナウンサーだけはゆるさねぇけど」

「おぉ……」


アナウンサーの方は答案は控えるとかニュースで流れたから、明日の侑さんの答案に私も同席してやるんだ。アナウンサーさんなんて会おうと思えば会えんだよ、人脈舐めんなよ。とおもいつつふふふと笑えば侑さんはあんま変なことしたらあかんで…と呟いている。

「私のカレシに手出すならもっと可愛くなって出直してこいっておもうよ、私の方が圧倒的可愛い」
「なまえちゃんのその心の強さほんま尊敬するわ、ほい豚汁」
「わー!ありがとうございます!でもそうでしょ、侑さんの1番は私以外いないもの!」


奥から戻ってきた治さんは豚汁を二つ持ってきてくれてカウンターにおいてそう話した。
侑さんと言えばすんと立ち上がりキラキラした顔で私に飛びついてくれる。
私に取ってこの人が一番であるようにこの人にとって私が一番であることが揺らぐことはまずないのだ。


後日、侑さんとすっぱぬかれたアナウンサーは自身がMCの番組を降板し、なおかつ先日の謝罪文をあげた。侑さんや治さん、さらには角名さんに何をした…って聞かれたけど私は局の知ってる人にいらぬ噂を流しただけである。
会社員って大変だなぁと呟けば3人が顔を青くしていた。



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