デート

「まさか、侑さんがここを言うと思ってなくてびっくりしてます」
「なまえちゃんとの思い出の地やん。ふたりできたかってん」
「いつもオタクときてたから新鮮〜、何から乗ります?」
「あ、なんでも。」


何回目かのデートの日。だいたい順繰りに大阪と東京をでしていた。前回は東京だったから今回は大阪でと思っていたが今回侑さんきっての願いで東京になった、前日にこっちにきた侑さんはわたしの自宅に宿泊し明日は早起きやから早寝ようと声をかけられ、二人で静かに寝た。
朝起きて、準備をすれば試合とは違ったデートのカッコいい侑さんが玄関に待っていて何も伝えられてないわたしはヒールを履こうとして止められた。ローヒールのパンプスにし、電車にのって彼についていけば元現場。

そして、冒頭の会話に戻るわけだ。


「どこから乗りましょう……センター?」
「なん?それ」「真ん中の火山のジェットコースターです」「それにしよ」

最近はここにきて追っかけではなく、ちゃんとアトラクションにのって遊んでいる気がする。ショーも楽しいがやはりこの遊び方も楽しい。


「やっぱり、たのしー!」
「なまえちゃんほんまなんでもいけるんやな」
「大好きです!タワテラ」「俺はもう落下はええかな」「えー、もう何回か行けるのに」
「休憩しようや」「じゃあご飯行きましょう!」

お昼は何にしようと、よく通ったステージを横目に歩けばちょうど終わったところらしく人がたくさん出てきていた。

「ここ、なんかやったったん?」
「ここね、うん。ショーイベやって「あれ?なまえ?」あー、ちーちゃん」
「知り合いか?」「まぁ…」

迂闊に立ち止まるべきではなかった。
ここの現場から離れた原因…と言っても過言ではない人。とは言えず愛想笑いで誤魔化した、

「久々じゃない?どこ行ってんの今?」
「あー、今は違う現場行ってて…」
「えー!わたしも行きたい!つれてってよ!」
「う、うん。今度ね……」

こう言って、前回も私と推し被りをし現場で目立つ少し厄介なオタクだった。私がかってにしんどくなっちゃっただけだけど、また推し被りをしたらと考えると本当に連れて行きたくない。侑さんだけは絶対に嫌だ。そんなことないと信じたいけどもし侑さんがと考えるとつらすぎて、思わず侑さんの手を強く握ってしまった。

訝しげな顔をしていた侑さんは私の態度に何か察したのか私の肩をつかみ、顔をみてニヤリとした。

「今な、なまえちゃん、俺の一番大切なファンで彼女やねん、でなミーハーなんはええけど俺サーブでキャーキャー言われんの嫌いやねん。」
「え?なまえちゃん推しと付き合ってんの?何したの!?すごくない?紹介してよ!」
「ギャーギャー内側踏み荒らす喧し豚は試合見に来んなって言ってんねん。少し静かにしとけや。それにな、なまえちゃんはただ普通に応援しとってくれただけやぞ」

侑さんの最後の言葉に言葉を失った友人は呆然と立ち尽くし、私は顔を見上げて侑さんを見た。

「俺がベタ惚れやねん。デートも邪魔されんの嫌やし、試合も邪魔されたくないんやわ。ほな」
「侑さん!?」「さ、なまえちゃん飯いこや。俺、カレー食いたいわ」「え、あ、はい」


その場を少し離れて後ろを振り向けばちーちゃんが泣きそうな顔をしてこちらを睨んでいた。
侑さんは調べれば出てきちゃうし試合で迷惑されたらと考えてしまう。

「なまえちゃんはなんも心配せんでええよ。何があっても俺守るで。それに俺は離れたりせんから言ったやろ、クソ重いでって」
「侑さん、ほんと、かっこよすぎて泣いちゃう。大好き」
「まけんでー、俺も大好きや!」


のちのちSNSでちーちゃんが私達を晒したらしいけどこちらの界隈では有名なわたしたちは周りに夢の国デートってかわいいか…とか私が見た時抱きしめててたわ!あれはほんま仲良しカップルやわーと騒がれたようで侑さんは次の試合でどうや?ウチのチームのファン優しい奴しかおらんねん。あいつみたいなやつはいらん!と叫んでわたしをまた抱きしめた。

周りのファンの方々と萌絵果はまたやってると呆れた顔をして私たちを見守ってくれた。


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