初恋をつつかれる

「ねぇ、侑さん」
「ん?どしたん?」

「ライブチャットやらないの?」
「ゲホゲホッ、なん、え?」
「やってたのに最近やらないなっておもって」


なんで知ってるんだ?って顔してるじゃん。いやオタクが知らないわけなかろうむしろ。
わたしと付き合う前、それこそ私がハマりはじめた頃、この人はライブチャットアプリにハマっていて定期的に遊んでいた。
まぁ頻度なんてたかが知れてて1ヶ月に1回あるかないか。
それでもファンにとってはたまの交流。
みんな結構コメント投げていたりと見ていた。


「なまえちゃんしっとったんか…」
「そらもちろん」
「え、見た?」
「みた」
「ハマってから?」
「ハマってから」
「その前はみとらん?」
「その前はちらっと一回だけ萌絵花にみせられたけど内容覚えてないよ」

くりかえしたオウム返しが終われば、よかったぁと安堵を見せた侑さんに疑問をいだく。
何に安堵したのか。それが1番の疑問だ。


「なにはなしてたの?」
「いや、あの」
「ねぇ。」
「なまえちゃんの話……」
「…初恋の話?」
「せやねん」

いやや、こそばいー!と叫ばれ嫌だ。気になる教えてとごねる。私は知っているこの人がごねれば教えてくれることを。それでも教えてもらえない時は必殺萌絵花だ。


「あぁ、もうわかった。言う。言うから待って」
「ふふ」「急にかわいい顔せんでくれ…」


「まぁ、始めたのは元カノ…あ!連絡先はもうないで!?高校の時のやし」
「ふーん」「ほんまやって!信じてやぁ」
「いや流石に持っててもいいけど」

頭出しから脱線して話は進んだ。
きけばライブチャットも元カノからこううのやったらバレーもみんなに知ってもらえるんでないかというひとことだったらしい。
始めてみればいろんな人が見てくれて、楽しかったとのこと。
インスタで始めたのは収益うんぬんがあるからだとか。
4.5回目くらいで初恋の話になったそうであの話をしたらしい。


「みんなひどいねん。夢の国だから夢だとかからかってきおって」
「いや、本心かもだよ」
「夢じゃなかったやん!実際今も!大好きやし!」
「あ、ありがとう、私も好きだよ」
「やんな!それでな、今その人と再会してもその人のこと好きになる?みたいな質問来てん。どうやろなって思ったんやけど、」
「だけど?」
「きっとまたすぐ好きになるわ!って答えてん。本当になったわ!」


絶妙にうそみたいな本当の話。
びっくりして目を大きくしてしまう私の目の前でさすが俺やな、ほんまにすきになったで。ッハ!報告配信するか?なんてぼやいている。
そんなことはしないでください。


でも何故だか、聞き覚えのある質問と答案。
萌絵花と書いていたときに流れたのだろうか。

「あ」
「え、なん?」
「それ、私だ」
「え?」
「だから、聞いたの私だわ」


きっとまだ、元推しに会いに夢の国に通っていた頃のこと、萌絵花を連れて何度か行ったし、ついて行ったんだからといって聞かされた記憶がある。そこでこの人ピュアピュアかよ!質問送ろ!とか言って悪ノリで送ったのだ。


「えー、私のことだったのか。ちゃんと聞いとけばやがったなぁ」
「あれ、なまえちゃんやったんか……?」
「え、うん」


あわあわとして狼狽える侑さんは顔を真っ赤にして突如、ベッドに潜り込んだ。

「え?ちょっと、」
「もう、はずかしゅうてお婿に行かれへん…」
「私の旦那さんになるって昨日騒いでたじゃん。それにお嫁に行くの私だから」
「なまえちゃんは急に冷静にならんで!」


うずくまったとおもえば再びガバッとベッドの布団を自ら剥ぎ飛びかかってきた。

さすがに私も支え切れるわけもなく一緒に床へ流れ込む。


「もうあれやな!俺はもうなまえちゃんがお婿にもらってもらわなあかんな」
「だから、私が侑さんのところにお嫁行くって言ってんだけど」
「言質とったでー?」
「いいよ、本当に私侑さんに嫁ぐからね」


たのしみやなぁ。とぎゅっと抱きしめられながら幸せに浸かりつつ侑さんを抱きしめ返した。



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