その暖かさになりたい

「あかーん」
「あかんくなーい」

本日は兵庫、侑のご実家に行く予定ですでに兵庫にいる。
侑さんがごねるの理由は実家のお母様に私を合わせたくないという。
将来義母になる方だからしっかり挨拶をしたいと言うのに。


「もう着くんでしょ?あきらめて?あ、治さーん!」
「なんでおんねん!サム!!」
「いや迎え行けっておかんが」

地元駅までつけば駅には治さんがおり、迎えにしてくれていた。
荷物が多いと見越してのことらしい。

「ツムは自分の持てや」
「俺がなまえちゃんのもつねん!サムは俺の待っとけ!」

言い合いはここでも変わらぬようにあるようで激しさは増すばかりだ。


***


「ほんまにかわええ子やね。侑よくこんなええ子つかまえたな」
「せやろ!?なまえちゃんかわええねん!」

「あの、今日はお呼びいただきありがとうございます。これ良ければお好みにあえばと思うんだけど…」

「ええのにありがとうね。あら東京の?」
「はい。ここの美味しいので。ぜひ食べてください。多分足りるかと思うのですが…」


優しそうに笑うお母さんは侑さんと治さんに目元がそっくりであぁ、この人たちのお母さんだ。とおもった。
2人とも、荷物部屋に運んでき!なまえさんはリビングおいで。ゆっくりしていき。とやはり二人に似ているなぁとおもいつつお母さんについていく。
侑さんと治さんはやはり少し言い合いをしながら階段を登っていた。

「まさか侑が嫁さんにしたい子つれてくわ!なんていうて家に帰ってくるなんて思ってなくてな。なんもなくてごめんね」
「いえ!むしろこちらこそ急に私まで帰省についてきてしまって…」
「ええのええの。侑の相手大変やない?」
「ぜんぜん!バレーに一途な侑さんが大好きでバレーに一途がゆえに少しダメなところもわたしがカバーしてとおもってて…」
「見てくれてるんやね」
「っあ、すみません!ながながと…」

侑さんのお母さんはやはり優しい顔をしてにこりと笑いかけてくれる。
ドタドタと階段を降りる音がすればふふふとと笑って私を見る。


「侑は、あの子むかしからあんなんやから勘違いされることも多いし、言葉もきついし彼女連れてくることもなかったし。さやから今回連れてくるって聞いてどんな子が来るんかなって思ったったんやけどやっぱり、治も言っとったけど、ええ子やね。あんなんやけど一つに対して一途な子やし決めたらまっすぐやからどうか見捨てんであげてね。」

「むしろ、私が見捨てられないように頑張らなきゃです」

「おかん!!なまえちゃんに変なこというとらんよな!?」

「いうてへんわ、なまえちゃん料理できる?」
「やれます!お手伝いさせてください!」


暖かい優しいお母さんと温かい家庭。


「ねぇ、侑さん」
「ん?」
「私自分のお母さんみたいにもなりたいけど侑さんのお母さんみたいにもなりたいなぁ」
「っえ、」
「嬉しいこと言うてくれるやないの!」


いつか将来時がきたら。
侑さんとの子供ができたら、こんな優しくて温かな家庭を築きたい。

お母さんの笑い声と侑さんのおろおろとした声が重なって私はその光景をみて口角をあげた。




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