10

「うわ、どうしたん。治くん」
「気にしなくていいよ。どうせ梟谷のマネージャーのことだと思う」
「あー、かわいい食べてた人」
「 お前のが可愛い」

そういう話しとらん。と言い放ち角名の頭を叩く彼女は1年時から角名がずっと好きだと言っていた今は角名の彼女。だいぶ絆されとるなとはおもっていたが今年の春はれて付き合い出したらしいものだから少し羨ましいともおもった。

「で、なに?連絡とっとるんじゃないん?」
「取っとる。朝も連絡した」
「これきいてても…」
「会いとぉ」
「あー」「ほらな」

距離が遠いからなぁとこぼす彼女のいう通りで片道約1万5千円、往復3万円。学生のしかも寮住まいである俺たちには高い金額。すぐホイホイ行けるわけではない。
机の上に置くケータイがバイブ音で自分に連絡を知らせる。
画面を見れば朝から続く彼女からの連絡で開けば1枚の写真と今日の朝の木兎と仲間たち。の一言。
画像は机の下に潜り込みどうやら調子の悪い梟谷のエース木兎光太郎と周りにはそれをいつものことと呆れ顔の三年生たちであろう写真が送られてきた。

「梟谷のエースの人やば」
「梟谷の人ら木兎しょぼくれモードで解決しとるらしい」
「それで解決するやつなのこれ」

うちのエースであるアランくんと同じく5本指に入るエースである木兎光太郎の浮き沈みがこんなに激しいと知ったのは先日のこと。
連絡を取り始めて何日かたった頃写真が送られてきて合宿中の木兎しょぼくれモードとついた連絡に笑ったのが記憶に新しい。

「木兎さんてひと、IHでめっちゃ活躍してたよね」
「そうだね。」「倫太郎は負ける?」
「あー、どうかな」
「おい、俺の前でそれすなや。やるなら別でやり」
「治くんは?負ける?」
「勝つわ!!」

個別戦じゃないバレーにおいて個々の勝敗をつけるのは難しいのでそこに勝ち負けがつけられるかと言われればわからないが、一応は強い学校の一応最強ツインズと言われている手前強気の答案をするのは許して欲しい。


「ほれ、さっさと返事しいや。」
「ずっと思とったけど、意外とズバッと物事言うよな」
「そうやなかったら倫太郎はもっとつけ上がっとる」
「…せやな」

さて、なんと返事をしようと考えるもこの写真への返事は何回もなかなか凹んどりますねぐらいしか思いつかない。これを伝えればきっと目の前の二人にもっとなんかあるだろと叱られそうだ。
であれば、だ。

カシャっとカメラの音を鳴らす。

「は?なんかとったでしょ、治」
「何撮ったん?え?」
「名前さんにお前ら送んねん」

許可を取れ!と騒ぐ二人を横目に素早く連絡を返す。
自分のクラスの名物カップルのやかましい光景です。とコメントをつけて、しばらくすればこれいつもなの?と返事が来てそうです。ただの迷惑カップルですよと返す。

ここから少し会話が盛り上がったので二人には感謝を伝えよう。と決めた。

-10-
prev next
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -