愛の予感に救援を

「ほぉ、やっぱユニバとはちゃうなあ!」
「ええか、侑はしゃぎすぎて迷子とかなるなよ」
「んなもん、この年でなるかい!あ!ポップコーンある!買おうや!サム!」


言わんこっちゃないと呆れた顔の角名とポップコーンの売店を輝かしい目で見る治、さらにはあたふたとする銀。
なんの味があるんやろうかと見ればキャラメルや塩、変わり種もある。治は全制覇を目標にポップコーンをめぐると移動中のバスの中で言っていた。
きたのは夢の国でも海の方。

「何からのろか」「あれやろ落ちるやつ」
「ええなぁ」「じゃああっちじゃない?」

地図を角名が持ち、進む。意外にも入り口から距離は遠くなく、すぐについたものの長蛇の列。待機列は平日なかいもあってか、70分待ち。
「なんや、これ、すごいな」
「ユニバみたいなショートカットできるやつあるやろ」「ファストパスだっけ?」
「こっちは金かからんからええよな」
4人でならぶかそれを発券するか話した結果ファストパスなるものを出すと決めた。どっちやと探せばそれらしきを見つけられず、うんうんと4人で探すしていると俺の目線の先に毛先がピンクの綺麗なねーちゃんを見つけたマップも持たんとカメラを抱え友人たちと話す姿に目を惹かれていた。

「ここのスタッフさんとかどこや」「あの人知ってそうやし声かけてくる!」
「おい、ツム!」


「あの!すみません!」
「え、私?」「そうです!俺ら、修学旅行できたんすけど…」
勢い余って声をかけたが冷静にスタッフを探せと言われれば本末転倒、少しづつ声がしぼむ。

「あははは!いいよ、教えたげる!何人できたの?」
「4人っす」
「ねえーこのあとファストパスとる?取らないなら借りたい〜」
「このあと追いがアラビアンコーストだぞそっちだわ」
「あざー!じゃあこっち。」
「あざーす!」

あはは、元気いっぱいじゃん。と角名とは違いなまりのない標準語がすんなり耳に届く。他の3人もすぐ合流し、発見の方法を学び、彼女が友人達ので出してくれたファストパスを受け取る。
「本当はだめだけどね、内緒ね真似しちゃダメだよ。」と笑う彼女はとても綺麗でじゃあと手をあげて立ち去る彼女をどうやって引き止めるかを必死に考えた。


「あの!めしまだですか!?」
「え、まだだけど」
「もし、お姉さんさえ良ければ、上手いとこ教えて欲しいなぁって…」

治たちは目を丸くして俺を見ている。そらそうや、普段喧し豚言うて貶したりしてるのにも関わらず今俺は必死にこの人の繋がりを切りたくない。

「可愛いナンパじゃんかー、名前いいじゃん。どうせカレーでしょ?コーストのとこ連れてけば」
「萌絵果、たべたいだけでしょ」「ばれたー?」

友達の一声で俺たちもついていけることになったものだから友達には感謝してもしきれない。
その友達には名前ナンパ声かけづらいってよく言われてんだよあの子。やるなー!青春か!と突っ込まれた。

最初、彼女たちも4人だったが気づけば彼女と友達さんだけになっており、大きめのテーブルを二つ使うことにした。

「へぇ!じゃあ兵庫から来たんだ!たのしめそう?」
「ここめしいっぱいあってすでに楽しいです」
「ポップコーンシュリンプ味のポップコーンがおすすめだから、食べて欲しいわこの子」
「食います」「早いな!」「食い意地やばいんですこいつ」「美味しそうに食べてるのみてるとそんな感じする〜〜通りでその身長だね!」

治の方が二人となんなく会話をし始めそれに角名が少し混じる。
楽しそうに笑う彼女がとても可愛くてなんとなく見続けている。

「じゃあ強豪なんだ!すごいねぇ。スポーツ界隈のオタクは知り合いにいないからわかんないや」
「おもしろいで、バレー。こいつとか人でなしやけど一応高校No. 1セッターって言われとって」

ぼーっとしてる間に話は続いたようで俺たちの話になっとった。

「セッターってなぁに?」
「司令塔です!試合中一番多くボールに触って、相手を欺いてスパイカーに道をつくるんです!俺はセッターやから、どんなボールも支えるんです!」

彼女の質問にいつにもなく必死に自分のポジションについて話せば
少し目を丸くした彼女が優しく笑う。
そして

「君は本当にバレーが好きなんだね。君を追いかけてる子達はきっとそのひたむきさが好きなんだろうね」
と言ってくれた。


胸がキュッとなった気がした。見たこともないと言っていた。彼女に俺のバレーを見て欲しい。俺を見てほしいと言う気持ちがどんどん大きくなる。


「あ、のんびりしてたらもうすぐ始まるよ、萌絵果。場所取りしよ」
「そうだねー、じゃあまたね、少年たち」
「この後ポップコーンたべます。」「食え食え!美味しいよ」「肉巻ロールも美味しいよ。シュリンプの近くの売店にあるから食べてみて。あとはあれ浮き輪マン」

じゃあと言って席をたつ彼女にどうしても連絡先をと思ったが、声をかける前に立ち去られてしまった。

「アホツム」「いくじなし」「あー、どんまい」
「三人して貶すなや!」

そのあと所望したタワテラに20分もしないで乗り、他のアトラクションものった。集合間際に言っていた
ポップコーンと肉巻きロールを買い集合場所に向かう。

「あ、昼の修学旅行生」
「ほんとだー。帰り?」
「あ、はい!お姉さんたちは何してはるんですか?」
「バンドの帰り待ち〜」「あ、来る、こっち寄って」
ケータイを構えて白い服に包まれた演奏者を見送るためにどうやらここにいたらしい。

「よし、名前、ピアリチャレンジしよ」
「よしきた。じゃあね!修学旅行楽しんで!」

どうしても、声を上げられず、結局連絡先をもらうことも叶わず俺の初恋は儚く散った。

そのあと何人か彼女も作ったし数人火遊びもした。がなんだかんだあの人が忘れらず。

あれから数年後俺は再び彼女に恋をし今度こそ連絡先を入手した。
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