近未来を横目に

高校3年生の卒業式の春。
片想いをした彼に告白をされ、付き合い始めた。

彼はあっという間に活躍してレギュラーに登っている。
私と言えば兵庫の大学に通い早4年目、就活に必死になる春を迎えたところだ。
彼は長野で私は兵庫という遠距離を4年続けているわけである。

「にしても、まだ見たことなかったんやな。角名の試合」
「だって、いつもくんなっていわれててん」
「律儀か」
「今日かて、だめって言われてん。でもほんまに就活で忙しくなるし、みたいなぁって思ってな」

「ほぉ…」


たまたま会場が大阪で、それも宮侑くんの所属するチームとの試合で宮治くんと試合を見にきた。
いつも止められるが大学生と限られた時間内で見れる回数など限られている。
見れるうちに見なければと言う欲があまりにも出ていて、秘密にして試合会場に来たと言うわけだ。

「席あったわ、ここや苗字さん」
「ありがとお、楽しみやなぁ、高校の時以来やわ」

3年生のインターハイ、烏野の試合。
前年の雪辱をはらし、勝利した試合。

双子や銀島くんが喜んでいるのは目に見えて分かったが角名くんが腕をぐっとしてガッツポーズを実は決めていて、勝利を喜んでいるのをみて私もなんだかんだ喜んだ。


「相変わらず、すごい曲がるなぁ」
「角名やしなぁ」
「あ、また決めた」

侑くんは決められたことが悔しいようで睨みつけていた。
3セット先取とはなかなか長いものだが気づけば試合は終盤でこのセットをEJPがとれば5セット目、ブラックジャッカルがとれば終了となっている。

「あ、ブロックアウトした」


試合は結果ブラックジャッカルの勝利となり終わった。
事前に調べたらサインとかプレゼントを渡せるらしいため、プレゼントに新しいタオルを買ったのでそれと、サインをもらうために色紙を持ってきた。

その場で治くんと別れ角名くんの元に向かってみる。
少し並んでいる列にしれっと並び込み、順番を待つ。
いつも見れない姿にドキドキしつつ、下を向く。

「角名くん、お疲れ様。」
「え?待って、名前なんでいるの?」
「就活前やし、どうしてもみたかってん。なかなか会えんくなっちゃうし、治くんに連れてきてもろて」

「治かよ…負けるし格好つかないじゃん」
「何言うてん、かっこよかったで。来年は傍で応援したいねん。だからがんばるね」

「いつからそんな男前になってんの…」

サインください。と伝えて、こんなのいつでも書くのにとボソボソ言いながらサインを書き進める。

「じゃあ、来年は俺と春過ごしてくれるんだ?」
「頑張ってそっちで就職考えとるよ」
「じゃあ、来年からは同じ家に住めるの楽しみにしてるね。はい。今日夜行くから」

「え、あ、うん」


小声で最後つげられて、サインを受け取り出口に向かう、
どうやら私を待っていてくれたらしい治くんに
顔赤いで、角名に何言われたん?と告げられどおりで顔が熱いと理解した。


とりあえず、今日は部屋の掃除をしなければとそのまま家に帰ることを決めたのだ。






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